スマートフォンはモバイル端末の切り札になれるか |
[抄録]
パソコンを小型化したPDAが衰退する一方で通信機能を基本とし、携帯電話から進化してきたスマートフォンがこれからのモバイル端末の主流となる可能性は高い。今後各社から登場するスマートフォンに注目するとともに、スマートフォンをベースとしたビジネスモデルの検討も進めていかなくてはならない。
■ わたしのモバイル端末の遍歴
これまでに使ってきたPDA(携帯端末)としては、電子手帳型のものもありましたが、NECのモバイルギア、DocomoのシグマリオンⅡなどキーボードタイプのものが多かったように思えます。ただやはり、常時持ち歩くには多少かさばるのが難点で、しかも、最近でこそ電車の座席でパソコンを広げる人も多くなってきましたが、たかだか10分程度の移動では、わざわざ広げようと思わない、その一方で携帯電話でメールも事足りるので、とパソコン持ち歩き族にもなれなかったというのが、ここ数年のわたしのモバイル生活です。
もっとも、携帯電話ではメールもそこそこですし、スケジュールや住所録なども管理し切れません。そこで愛用していたのがZaurus SL-A300というリナックスZaurusではもっとも小型の(低価格の(^^;)機種で、ほとんど電子手帳というスタイルですがパソコンのデータとシンクロできてOutlookのスケジュールから住所録まで持ち歩くことができるというスグレモノです。
■ PDAの衰退とスマートフォンの登場
ところが、最近のPDA離れは、SL-A300どころか、大型のZaurusの後継機の発売も危うくなってくるほどで、A300の後継機などあり得ない状況になってきました。しかも、A300にもPHS通信カードは装備できるのですが、いまさらこの機種に投資をしてもいつまで保つかどうかという局面になってきました。この背景には、携帯電話の高度化とパソコンの携帯性の向上というPDAを上下から挟み撃ちにするという環境からもたらされたものです。
特に携帯電話では、すでに欧米では普及しはじめていましたが、スマートフォンと呼ばれるPDAにほとんど近い機能を持った携帯電話が登場しており、日本でも、ボーダフォンがこの機種を輸入して発売していたり、DocomoがM1000という米モトローラ社の機種をFomaとして投入したりしていましたが、ハードそのものがZaurusなどの国産製品に馴染んだ我々からするとおおざっぱな作りや機能的にも今ひとつ汎用性がないなどの点があってブレイクしきれずにいたわけです。
■ ついに登場したPDAを超えるスマートフォン
そこへ、PHSキャリアで、これまでもAirEdgeなどの通信カードで高いシェアを持っていたウィルコムが国産ハードウエア、それもZaurusで鍛えられた技術力を持つsharp製の純国産スマートフォンとしてW-Zero3をPHS+無線LAN機能搭載機として、しかも、OSはWindows Mobile5.0というデファクトOSからWord、Excel、PowerpointといったMobileOfficeを搭載して投入してきたのが、このW-Zero3です。
昨年12月14日に発売されたW-Zero3ですが、発売当日入荷分はほとんどの店舗で予約で完売状態。それ以降の入荷も見込みがつかないということで、ほとんどの量販店で予約すら受け付けないという状況で年末を迎えました。わたしも、ヨドバシ梅田店、ビッグカメラ難波店をはじめ、通勤経路上にある量販店に足を運びましたが、どこも売り切れ、入荷予定不明という張り紙があるだけという状態が続いていました。
先週末の6日に、半ばあきらめながらビッグカメラ難波店を訪れました。やはり売場には展示機ひとつもなく、ポスターは貼ってあるだけで店員も客もその周囲には誰もいませんでした。やはり今日もだめかと思いつつ、通りかかった店員に入荷の予定はあるか、と問いかけますと、在庫があります、という返事が返ってきたのです。どうも、当日の午後になって数台の入荷があったそうで、さっそく購入することにしました。
まだ、無線LANの設定などはできていませんが、PHSでのインターネットアクセスなどはなかなか使い勝手が良く、期待できそうな感じです。
発売当初からの盛り上がりぶりからして、今後、供給が安定してくる1月下旬以降、販売台数も大きく伸びてくることは間違いないと思います。そうなると、日本国内でのスマートフォンとしてはじめて一定のシェアを確保することもあり、スマートフォン市場そのものが活況を呈してくることも充分に予想できます。あとは、スマートフォンをもっと便利に有効に使えるためのソフトウエアの充実やスマートフォンを活用した新しいビジネスモデルの検討が進んでくることが必要になってくると思います。
課題はいくつもありますが、今後のスマートフォンの動向をしっかりと見極めていく必要があるのではないでしょうか。