コープソリューション2015年12月1日号掲載
POSとは、販売時点情報管理システムのことです。言わずもがなですが、来店者情報管理システムではありません。あくまで、商品を買ってくれた結果の情報なのです。
流通小売業においては、常々、来店しながら買わずに帰ったひとの情報こそが重要といわれてきました。なぜ、買わなかったのか、POSではとらえきれない情報を求めて、現実の店舗では、顧客動線調査といって、来店客ひとりずつを調査員が追跡して、どの棚でどの商品を手に取ったかまでを、密かに調査する手法がしばしばとれられてきました。
さすがに、ITが進化した現代においては、買い物カートやカゴに専用の発信器を取り付けて店内各所に設置した端末で位置情報を拾う方式や、最近では顧客のスマートフォンが発するWi-Fi(ワイファイ)という電波を補足することで、比較的簡易な設備で、動線を把握する方式も実用化されてきています。
とはいえ、情報収集には、それなりの手間やコストがかかることは以前も現在も同様です。
ところが、インターネット上のECサイトの場合、POSデータに相当する購買記録は、言うに及ばず、サイトの来訪者が、どのページをたどってどの注文ボタンからその商品を注文したのか、また、注文しなかったのかまで把握できるのです。また、現時点ではPCに限られる方法ですが、ある特殊な手法を使うと、従来は視線カメラなど大がかりな機材を必要とした、画面上のどの商品や画像、広告バナーを注目していたかを傾向値として把握することも、特別な装置なしで可能になっています。
もう少し簡単な例では、共同購入の商品案内カタログの紙面上に、表紙と中面など同じ商品を複数箇所に掲載する手法が採られることがしばしばありますが、OCRの注文書でも、インターネット注文でも、注文番号を変えない限り、どちらで注文されたのかといった紙面上の掲載場所の効果測定は不可能でした。しかし、最新のWebカタログでは、同じ注文番号であっても、どのページの注文番号であるかまで情報が収集できるようになっています。
このように、ひとりひとりの利用者の行動を克明に把握できるのがインターネットサイトの特徴でもあるのですが、克明であればあるほど、収集される情報の量も幾何級数的に膨大なものとなってしまいます。
規模の大きな生協のECサイトから収集されるデータの量は、文字に換算して1日あたり数億から十数億文字に相当します。もうお話しすると、それが今流行のビッグデータかと思われるかもしれません。残念ながら、いわゆる「ビッグデータ」とは、やや趣を異にしているデータで、アクセスログと呼ばれるものですが、規模についてはまさしくビッグデータではあります。
この規模のデータとなると、そのままでは扱えるものではないので、専用の解析ツールを使用することになります。各地の生協で使われている日本生協連のCWS共同基盤では、サイトカタリストというツールを使って、様々な角度からの分析や定例レポートを作成していると聞いていますが、詳しい分析や検証を行うには、それなりに専門知識を持ったデータアナリストやデータサイエンティストという人材が必要となってきます。せっかくの貴重なデータを事業やプロモーションに生かすためには、こうした人材の育成がこれからの課題となっているようです。
ただ、生協の事業のように、日々、あるいは、週次のサイクルで様々な活動が刻々と遂行されるような場合には、毎回、仮説検証型の分析を行うのではなく、ある程度「定石化」されたロジックを使って、収集されたデータを個人別に集計して、最も適切な告知やプロモーションを自動的に展開するような仕組みが存在しなければ、データ分析が単に分析のための分析に終わってしまう懸念があります。
インターネットサイトから個人別に収集した膨大なデータから、キーとなる情報を集計・分析し、顧客ごとの特性に応じて、自動的に次のアクションに結びつける仕掛けを、昨今、「マーケティングオートメーション」と呼んで各企業などが力を入れてきています。
生協陣営でも、すでに大手事業連合を中心にいくつかの実験的な試みがされていると聞いています。
こうした施策によって、インターネット利用者層の生協利用向上を実現することがインターネット事業には求められているのです。
※「ビッグデータ活用」と「マーケティングオートメーション」については、あらためてご紹介させていただく予定です。
POSとは、販売時点情報管理システムのことです。言わずもがなですが、来店者情報管理システムではありません。あくまで、商品を買ってくれた結果の情報なのです。
流通小売業においては、常々、来店しながら買わずに帰ったひとの情報こそが重要といわれてきました。なぜ、買わなかったのか、POSではとらえきれない情報を求めて、現実の店舗では、顧客動線調査といって、来店客ひとりずつを調査員が追跡して、どの棚でどの商品を手に取ったかまでを、密かに調査する手法がしばしばとれられてきました。
さすがに、ITが進化した現代においては、買い物カートやカゴに専用の発信器を取り付けて店内各所に設置した端末で位置情報を拾う方式や、最近では顧客のスマートフォンが発するWi-Fi(ワイファイ)という電波を補足することで、比較的簡易な設備で、動線を把握する方式も実用化されてきています。
とはいえ、情報収集には、それなりの手間やコストがかかることは以前も現在も同様です。
ところが、インターネット上のECサイトの場合、POSデータに相当する購買記録は、言うに及ばず、サイトの来訪者が、どのページをたどってどの注文ボタンからその商品を注文したのか、また、注文しなかったのかまで把握できるのです。また、現時点ではPCに限られる方法ですが、ある特殊な手法を使うと、従来は視線カメラなど大がかりな機材を必要とした、画面上のどの商品や画像、広告バナーを注目していたかを傾向値として把握することも、特別な装置なしで可能になっています。
もう少し簡単な例では、共同購入の商品案内カタログの紙面上に、表紙と中面など同じ商品を複数箇所に掲載する手法が採られることがしばしばありますが、OCRの注文書でも、インターネット注文でも、注文番号を変えない限り、どちらで注文されたのかといった紙面上の掲載場所の効果測定は不可能でした。しかし、最新のWebカタログでは、同じ注文番号であっても、どのページの注文番号であるかまで情報が収集できるようになっています。
このように、ひとりひとりの利用者の行動を克明に把握できるのがインターネットサイトの特徴でもあるのですが、克明であればあるほど、収集される情報の量も幾何級数的に膨大なものとなってしまいます。
規模の大きな生協のECサイトから収集されるデータの量は、文字に換算して1日あたり数億から十数億文字に相当します。もうお話しすると、それが今流行のビッグデータかと思われるかもしれません。残念ながら、いわゆる「ビッグデータ」とは、やや趣を異にしているデータで、アクセスログと呼ばれるものですが、規模についてはまさしくビッグデータではあります。
この規模のデータとなると、そのままでは扱えるものではないので、専用の解析ツールを使用することになります。各地の生協で使われている日本生協連のCWS共同基盤では、サイトカタリストというツールを使って、様々な角度からの分析や定例レポートを作成していると聞いていますが、詳しい分析や検証を行うには、それなりに専門知識を持ったデータアナリストやデータサイエンティストという人材が必要となってきます。せっかくの貴重なデータを事業やプロモーションに生かすためには、こうした人材の育成がこれからの課題となっているようです。
ただ、生協の事業のように、日々、あるいは、週次のサイクルで様々な活動が刻々と遂行されるような場合には、毎回、仮説検証型の分析を行うのではなく、ある程度「定石化」されたロジックを使って、収集されたデータを個人別に集計して、最も適切な告知やプロモーションを自動的に展開するような仕組みが存在しなければ、データ分析が単に分析のための分析に終わってしまう懸念があります。
インターネットサイトから個人別に収集した膨大なデータから、キーとなる情報を集計・分析し、顧客ごとの特性に応じて、自動的に次のアクションに結びつける仕掛けを、昨今、「マーケティングオートメーション」と呼んで各企業などが力を入れてきています。
生協陣営でも、すでに大手事業連合を中心にいくつかの実験的な試みがされていると聞いています。
こうした施策によって、インターネット利用者層の生協利用向上を実現することがインターネット事業には求められているのです。
※「ビッグデータ活用」と「マーケティングオートメーション」については、あらためてご紹介させていただく予定です。