コープソリューション2016年1月1日号掲載
経済情勢がある程度の活況を示す中で迎えた2016年。幾多の課題を内包しながらも、各地の生協は着実な歩みをすすめています。
オリンピックイヤーであり、経済から社会動向の当面の節目である2020年まであと5年。団塊の世代が後期高齢者となり、生産人口や消費人口動態が右肩下がりの社会へと移行する2025年まで10年。こうした中長期の前提を踏まえながら、この1年のインターネットに関わる生協のあるべき姿について提起してみましょう。
2月には、いよいよ生協最大のEC基盤となるコープネットの新基盤が稼働をはじめます。
この新基盤の特徴は、システム関連にとどまらず、宅配事業の基幹システムとの連携による多角的なプロモーションやマーケティングに関わるというところにあります。
すでに更新時期を迎えていた日生協のCWSをはじめ、コープきんき、コープこうべなども、この新基盤の動向を注視するが故に基盤の刷新ではなく、当面の延命を図ったといわれるだけに、本稼働には多くの期待が寄せられています。
これまで、ECといえば、システムや機能の整備が中心でしたが、今後は、コープネットの新基盤を皮切りに、カタログ紙面では制約があり、実現できなかった施策が、ネットの可用性を生かすことで、年代や購入履歴と組み合わせ、利用者ひとりひとりに向けた個人別商品提案やプロモーションなどが、いよいよ実践編として装備されます。
こうした仕組みは、マーケティングオートメーションといわれて、この1~2年、ネット業界では非常に注目されてきており、コープネット以外の生協でも導入の検討や実験が進んできています。
一方、ここ数年、流行語ともなっていた、ネットと実際の店舗の融合を意味するオムニチャネルについても、生協版ともいうべき形が少しずつ現れ始めています。
生協のECは、その多くが宅配事業の受注基盤となっており、店舗組合員からは利用しにくいことが課題でした。
しかし、ようやくいくつかの生協で、店舗組合員でも利用できるネットショップ型ECを導入されてきています。このネットショップが、世間一般と同様に宅急便物流とクレジット決済だけであれば、いかに生協の商品を扱うといっても、なかなか差別化は難しいでしょう。
そこで、宅配事業のECであるCWSなどと認証基盤(ログイン機能)を共通化することで、両方のECを共通利用できることが重要です。決済も、クレジット利用には抵抗のある層が多い生協利用者に対して、生協宅配だけでなく、共済などでも利用の多い口座引落で決済できるようにすることで、店舗型生協を中心にこれまでにない割合の組合員をECに取り込むことができる環境が整うことになります。
あとは、ネット得意のメールプロモーションなどで組合員を店舗とECの両方に誘導する導線を作り上げ、囲い込みと利用拡大を同時に図れることが可能になります。
生協利用の中心であるシニア層にもスマホ利用がさらに拡大している現在、不安も多いネットやECの利用への最初の入り口を生協にすることで安心感を提供できることが重要な要素となっています。
ただし、シニア層のネット・EC利用については、まだまだ手放しというわけにはいかないところもあります。
この場面でこそ生協のくらしのたすけあい・教えあい活動のDNAが本領を発揮する場面ではないでしょうか。
東北サンネットでのタブレット先生によるネット利用の教えあい活動は、シニア組合員への安心の提供と同時に生協EC利用の促進にも大きく貢献しています。
今後、シニア層のネット利用が生協を窓口として拡大していくことで、この年代の消費ジャンルが衣食からシフトしていく先のひとつとされているヘルスケア分野での新しいビジネスモデルも視野に入ってくるでしょう。
最後に、昨年の生協におけるインターネット事業の動向をふりかえってみると、いくつかのエポックメイキング的な取り組みがあったことをのぞくと、やや行き詰まり感のある生協もあったように思えます。かつてのように、仕組みやサービスを組合員に漫然と提供していれば済んだ時期はすでに過去のものとなり、未来投資や先行投資、研究分野という名目だけでは評価されなくなっています。
たとえば、宅配事業のECにおいては、宅配受注におけるネット構成比のさらなる伸張と、利用単価において、OCR受注に対する優位性といった実績を確保し続けることが求められています。そういった裏付けがあってこそ、新たな分野への挑戦権が得られるということを忘れてはいけないのです。
経済情勢がある程度の活況を示す中で迎えた2016年。幾多の課題を内包しながらも、各地の生協は着実な歩みをすすめています。
オリンピックイヤーであり、経済から社会動向の当面の節目である2020年まであと5年。団塊の世代が後期高齢者となり、生産人口や消費人口動態が右肩下がりの社会へと移行する2025年まで10年。こうした中長期の前提を踏まえながら、この1年のインターネットに関わる生協のあるべき姿について提起してみましょう。
2月には、いよいよ生協最大のEC基盤となるコープネットの新基盤が稼働をはじめます。
この新基盤の特徴は、システム関連にとどまらず、宅配事業の基幹システムとの連携による多角的なプロモーションやマーケティングに関わるというところにあります。
すでに更新時期を迎えていた日生協のCWSをはじめ、コープきんき、コープこうべなども、この新基盤の動向を注視するが故に基盤の刷新ではなく、当面の延命を図ったといわれるだけに、本稼働には多くの期待が寄せられています。
これまで、ECといえば、システムや機能の整備が中心でしたが、今後は、コープネットの新基盤を皮切りに、カタログ紙面では制約があり、実現できなかった施策が、ネットの可用性を生かすことで、年代や購入履歴と組み合わせ、利用者ひとりひとりに向けた個人別商品提案やプロモーションなどが、いよいよ実践編として装備されます。
こうした仕組みは、マーケティングオートメーションといわれて、この1~2年、ネット業界では非常に注目されてきており、コープネット以外の生協でも導入の検討や実験が進んできています。
一方、ここ数年、流行語ともなっていた、ネットと実際の店舗の融合を意味するオムニチャネルについても、生協版ともいうべき形が少しずつ現れ始めています。
生協のECは、その多くが宅配事業の受注基盤となっており、店舗組合員からは利用しにくいことが課題でした。
しかし、ようやくいくつかの生協で、店舗組合員でも利用できるネットショップ型ECを導入されてきています。このネットショップが、世間一般と同様に宅急便物流とクレジット決済だけであれば、いかに生協の商品を扱うといっても、なかなか差別化は難しいでしょう。
そこで、宅配事業のECであるCWSなどと認証基盤(ログイン機能)を共通化することで、両方のECを共通利用できることが重要です。決済も、クレジット利用には抵抗のある層が多い生協利用者に対して、生協宅配だけでなく、共済などでも利用の多い口座引落で決済できるようにすることで、店舗型生協を中心にこれまでにない割合の組合員をECに取り込むことができる環境が整うことになります。
あとは、ネット得意のメールプロモーションなどで組合員を店舗とECの両方に誘導する導線を作り上げ、囲い込みと利用拡大を同時に図れることが可能になります。
生協利用の中心であるシニア層にもスマホ利用がさらに拡大している現在、不安も多いネットやECの利用への最初の入り口を生協にすることで安心感を提供できることが重要な要素となっています。
ただし、シニア層のネット・EC利用については、まだまだ手放しというわけにはいかないところもあります。
この場面でこそ生協のくらしのたすけあい・教えあい活動のDNAが本領を発揮する場面ではないでしょうか。
東北サンネットでのタブレット先生によるネット利用の教えあい活動は、シニア組合員への安心の提供と同時に生協EC利用の促進にも大きく貢献しています。
今後、シニア層のネット利用が生協を窓口として拡大していくことで、この年代の消費ジャンルが衣食からシフトしていく先のひとつとされているヘルスケア分野での新しいビジネスモデルも視野に入ってくるでしょう。
最後に、昨年の生協におけるインターネット事業の動向をふりかえってみると、いくつかのエポックメイキング的な取り組みがあったことをのぞくと、やや行き詰まり感のある生協もあったように思えます。かつてのように、仕組みやサービスを組合員に漫然と提供していれば済んだ時期はすでに過去のものとなり、未来投資や先行投資、研究分野という名目だけでは評価されなくなっています。
たとえば、宅配事業のECにおいては、宅配受注におけるネット構成比のさらなる伸張と、利用単価において、OCR受注に対する優位性といった実績を確保し続けることが求められています。そういった裏付けがあってこそ、新たな分野への挑戦権が得られるということを忘れてはいけないのです。