コープソリューション2016年3月1日号掲載
今回は、これまでのやや概念的なテーマではなく、生協のインターネット注文(EC)におけるWebカタログというツールのこれまでの評価と、これからの存在価値についてお話ししてみます。
これまでも、いろいろな場所で説明させていただきましたが、世間一般のECと生協のそれとの最大の違いは、通常の注文が、不定期で、かつ、単品か多くて数品の関連買いであるのに対して、生協では毎週、定期的に10数点から20点の商品を注文するところにあります。
一般のECは、基本的に目的買いであり、その発端は様々な外的プロモーションの結果によるものです。目的の商品が、少なくとも品目としてはある程度決まっていて、あとは検索や比較による購買の検討というプロセスに入ります。
生協のECも、同様のプロセスを経るものがないとはいいませんが、主流となっている共同購入・宅配のECにおいては、スタート地点は、毎週の注文の締切があることではないでしょうか。
毎週注文し、毎週商品が届くという生協の共同購入ならではの定期型注文行動が基本にありますので、ECについてもおおむねその注文行動は同じものです。
言い換えれば、生協のECの現状は、いわゆる共同購入・宅配の0CR注文書がパソコンやスマホに置き換わっただけのものなのです。
もちろん、ECならではの様々な利便性やプロモーション性によって、OCR注文書では実現し得ないような利用向上の取り組みがあることは間違いありませんが、その説明は別の機会とさせていただきます。
毎週、2千アイテム以上もある品揃えの中から、20点の注文をセレクトするということになると、もちろん、1点ずつ検索したりはできません。まずは、従来からある商品カタログをめくって、購入する商品を決めて、OCR注文書の記入欄に数量を書き入れていた注文行動を、パソコンやスマホに置き換えた番号注文というスタイルが主流になってきます。
現実に、全国の生協のEC注文においては、この番号注文という方式が、現在でも、注文全体の40~60%以上を占めているのが現状です。
これでは、本当にECとは名ばかりで、OCR記入欄がキーボードに置き換わっただけの注文装置に過ぎなくなります。
こうした中で、まだ、生協ECの黎明期といっていい時期に登場してきたのがWebカタログでした。当時、電子カタログというものがインターネット上でようやく認知されるようになった時期で、それまでの上のカタログをそのまま電子化することで、ひとつのプロモーション媒体を、紙の世界でもネットの世界でも共通に利用できる画期的なものでした。
当時の生協EC「eフレンズ」では、これを一歩進めて、生協の共同購入・宅配のカタログを電子化するだけでなく、カタログ上の注文番号をマウスでクリックするだけで、注文となるという仕掛けを作り出しました。もちろん、インターネットサイトの知識があれば、同様のことを実現することはそれほど難しいことではありませんでしたが、生協の場合、毎週100ページを超える大量のカタログが登場するため、当時の常識では注文機能どころか、電子カタログ化することすら規模的に困難されるものでした。
それを、当時eフレンズのシステム開発を担っていた日本電気(株)が、独自の方式を編み出し解決したのでした。
まず、カタログの電子化は、イメージスキャナで読み込むことで実現しました。さらに、生協が得意とするOCRの技術を適用し、紙面イメージにある注文番号の文字だけを認識して、そこに注文のリンクを形成するというものです。
もちろん、電子カタログをEC上に表示したり、注文番号のリンクがクリックされたことを認識して注文につなぐシステムは日本電気(株)が制作しましたが、毎週のカタログを電子化する作業は、ほとんどの生協が独自に、しかも、専門家ではなく、内部要員の作業だけで対応できました。
このWebカタログの登場により、生協ECの利用者が、かなり増加したことは言うまでもありません。
それまで、紙のカタログを見ながら注文番号をメモし、パソコンを立ち上げて、あらためてその注文番号を入力するという、おおよそECとはかけ離れた注文操作を余儀なくされていたところ、一般のEC同様、パソコンだけで注文が完結できるシステムが登場したわけですから、これでようやくECで注文していることが実感できたという利用者も少なくなかったようです。
こうして生協ECの利用者が、初めてECらしい注文方法にふれることができたという点においても、Webカタログの果たした功績は大きいといえるでしょう。(つづく)
今回は、これまでのやや概念的なテーマではなく、生協のインターネット注文(EC)におけるWebカタログというツールのこれまでの評価と、これからの存在価値についてお話ししてみます。
これまでも、いろいろな場所で説明させていただきましたが、世間一般のECと生協のそれとの最大の違いは、通常の注文が、不定期で、かつ、単品か多くて数品の関連買いであるのに対して、生協では毎週、定期的に10数点から20点の商品を注文するところにあります。
一般のECは、基本的に目的買いであり、その発端は様々な外的プロモーションの結果によるものです。目的の商品が、少なくとも品目としてはある程度決まっていて、あとは検索や比較による購買の検討というプロセスに入ります。
生協のECも、同様のプロセスを経るものがないとはいいませんが、主流となっている共同購入・宅配のECにおいては、スタート地点は、毎週の注文の締切があることではないでしょうか。
毎週注文し、毎週商品が届くという生協の共同購入ならではの定期型注文行動が基本にありますので、ECについてもおおむねその注文行動は同じものです。
言い換えれば、生協のECの現状は、いわゆる共同購入・宅配の0CR注文書がパソコンやスマホに置き換わっただけのものなのです。
もちろん、ECならではの様々な利便性やプロモーション性によって、OCR注文書では実現し得ないような利用向上の取り組みがあることは間違いありませんが、その説明は別の機会とさせていただきます。
毎週、2千アイテム以上もある品揃えの中から、20点の注文をセレクトするということになると、もちろん、1点ずつ検索したりはできません。まずは、従来からある商品カタログをめくって、購入する商品を決めて、OCR注文書の記入欄に数量を書き入れていた注文行動を、パソコンやスマホに置き換えた番号注文というスタイルが主流になってきます。
現実に、全国の生協のEC注文においては、この番号注文という方式が、現在でも、注文全体の40~60%以上を占めているのが現状です。
これでは、本当にECとは名ばかりで、OCR記入欄がキーボードに置き換わっただけの注文装置に過ぎなくなります。
こうした中で、まだ、生協ECの黎明期といっていい時期に登場してきたのがWebカタログでした。当時、電子カタログというものがインターネット上でようやく認知されるようになった時期で、それまでの上のカタログをそのまま電子化することで、ひとつのプロモーション媒体を、紙の世界でもネットの世界でも共通に利用できる画期的なものでした。
当時の生協EC「eフレンズ」では、これを一歩進めて、生協の共同購入・宅配のカタログを電子化するだけでなく、カタログ上の注文番号をマウスでクリックするだけで、注文となるという仕掛けを作り出しました。もちろん、インターネットサイトの知識があれば、同様のことを実現することはそれほど難しいことではありませんでしたが、生協の場合、毎週100ページを超える大量のカタログが登場するため、当時の常識では注文機能どころか、電子カタログ化することすら規模的に困難されるものでした。
それを、当時eフレンズのシステム開発を担っていた日本電気(株)が、独自の方式を編み出し解決したのでした。
まず、カタログの電子化は、イメージスキャナで読み込むことで実現しました。さらに、生協が得意とするOCRの技術を適用し、紙面イメージにある注文番号の文字だけを認識して、そこに注文のリンクを形成するというものです。
もちろん、電子カタログをEC上に表示したり、注文番号のリンクがクリックされたことを認識して注文につなぐシステムは日本電気(株)が制作しましたが、毎週のカタログを電子化する作業は、ほとんどの生協が独自に、しかも、専門家ではなく、内部要員の作業だけで対応できました。
このWebカタログの登場により、生協ECの利用者が、かなり増加したことは言うまでもありません。
それまで、紙のカタログを見ながら注文番号をメモし、パソコンを立ち上げて、あらためてその注文番号を入力するという、おおよそECとはかけ離れた注文操作を余儀なくされていたところ、一般のEC同様、パソコンだけで注文が完結できるシステムが登場したわけですから、これでようやくECで注文していることが実感できたという利用者も少なくなかったようです。
こうして生協ECの利用者が、初めてECらしい注文方法にふれることができたという点においても、Webカタログの果たした功績は大きいといえるでしょう。(つづく)
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