コープソリューション2016年7月1日号掲載
今回は、やや引きの強いタイトルをつけてしまいました。先にお詫びしておきますが、今号だけで、このタイトルの内容を説明し尽くすことはできませんが、決してウソ偽りを書こうとしているのではありません。
おそらく、IoTやAIについては、コンピュータにまつわる得体の知れない技術という印象をお持ちの方が多いでしょう。
しかし、こういった技術が結び合わさることにより、いよいよ夢物語だったことが、現実に近づこうとしています。SFやアニメの世界では夢の部分を取り上げればよかったのですが、いよいよ現実となってくると、もっと世知辛い対応を考えておかなくてはならないのです。
まず、端緒となるIoTについて説明しておきましょう。IoTは「物のインターネット」という言葉の英単語の頭文字です。翻訳しても何のことかはわかりません。端的に言えば、あらゆる製品に、高度なセンサーが内蔵されインターネットとつながることなのです。これによって、あらゆる機械や道具がいっせいにしゃべりはじめます。実際に言葉を発するのではなく、その製品の状態をデータで発信しはじめるのです。そうなると、これまで、人間が気にかけてやらなくてはならなかった製品の状態がすべて自動的に把握できるようになります。身近な例を挙げれば、植木鉢は植木の水分や養分が少なくなったことを知らせてくれます。おむつは、排泄があったことを知らせてくれます。たったそれだけのことです。その知らせを受ければ、あなたは植木に水や養分を補給し、おむつを交換するだけです。別に大仰な仕組みがなくても、これまでもできてきたことです。
もう一歩進めてみましょう。冷蔵庫に設置されたセンサーが牛乳の残量を検知して、自動的に補充の注文を出してくれたらどうでしょう。
でも、このあたりまでは、すでに以前からアイデアはありましたし、すでに似たような仕組みも実現できています。
しかし、IoTが違っているのは、そういったセンサー技術だけで成り立っていないことなのです。
昨年あたりに話題となったビッグデータ、今年のキーワードのひとつAI。AIは、かなり以前から人工知能という日本語に置き換えられていましたが、今年のAIは、「深層学習」という言葉に変化していますが、これらは、別々の技術ではなく、一体となって、大きな変化を作り出そうとしています。
IoTで、いろいろな製品がいっせいに語りはじめるとしたら、その情報量は膨大なものになります。とても人間の頭脳では解析できるものではありません。それを統計的に解析し、傾向や特異値を割り出す技術がビッグデータです。そのデータを繰り返し学習することでAIは、より高度な判断や予測をする能力を身につけます。これが「深層学習」です。
植木鉢の水分量センサーは、単に水やりのタイミングしか教えてくれないように思えますが、それが、地域や広域のデータとなれば、気象センサーとしても活用でき、農業に適用すれば自動農場などとも結びつきます。
おむつからのデータで、お母さんに、今眠っている赤ちゃんがいつ目覚めるかの予想時間を知らせ他の用事を済ませたりもできるほか、健康管理や育児、介護、見守りなどヘルスケア全般のサービス提供にもつながります。
冷蔵庫が牛乳を注文する、それは家庭のレベルでの合理化ですが、ビッグデータが集まれば、市場予測や生産計画の精度は格段に向上します。
ただ、こうした夢の側面と、世知辛い現実とは、常に同居していて、すでに、こうした技術が一般化した段階での社会構造や労働環境の大きな変化が指摘されています。
自動運転車の登場は、おそらく、マイカーよりも大規模物流を支える大型トラックなどへの導入が先行して、物流分野に大きなインパクトを与えます。
宅配物流へのドローンなどの投入は日本などの都市環境や住宅環境ではなかなか難しいとしても、宅配ロッカーやコンビニ受け取りといった、受け取り手段が改良されれば、物流は一気に無人化・自動化される可能性があります。
食品のうち、生鮮品や一部の嗜好品、いわゆるコンビニ商品以外は、宅配中心となり、店頭で購入しなくなるようになれば、食品スーパーの活路はどこにあるのでしょうか。
「IoT、ビッグデータ、AIをはじめとした新たな技術により、世界的に『第4次産業革命』とも呼ぶべきインパクトが見込まれる」これは、経産省が4月に発表した日本再興戦略2016の中で、繰り返し語られている言葉です。
これまで成長を遂げてきた生協も、この新しいパラダイムの中でどのように新しい価値創造を遂げていくかが問われつつあります。
今回は、やや引きの強いタイトルをつけてしまいました。先にお詫びしておきますが、今号だけで、このタイトルの内容を説明し尽くすことはできませんが、決してウソ偽りを書こうとしているのではありません。
おそらく、IoTやAIについては、コンピュータにまつわる得体の知れない技術という印象をお持ちの方が多いでしょう。
しかし、こういった技術が結び合わさることにより、いよいよ夢物語だったことが、現実に近づこうとしています。SFやアニメの世界では夢の部分を取り上げればよかったのですが、いよいよ現実となってくると、もっと世知辛い対応を考えておかなくてはならないのです。
まず、端緒となるIoTについて説明しておきましょう。IoTは「物のインターネット」という言葉の英単語の頭文字です。翻訳しても何のことかはわかりません。端的に言えば、あらゆる製品に、高度なセンサーが内蔵されインターネットとつながることなのです。これによって、あらゆる機械や道具がいっせいにしゃべりはじめます。実際に言葉を発するのではなく、その製品の状態をデータで発信しはじめるのです。そうなると、これまで、人間が気にかけてやらなくてはならなかった製品の状態がすべて自動的に把握できるようになります。身近な例を挙げれば、植木鉢は植木の水分や養分が少なくなったことを知らせてくれます。おむつは、排泄があったことを知らせてくれます。たったそれだけのことです。その知らせを受ければ、あなたは植木に水や養分を補給し、おむつを交換するだけです。別に大仰な仕組みがなくても、これまでもできてきたことです。
もう一歩進めてみましょう。冷蔵庫に設置されたセンサーが牛乳の残量を検知して、自動的に補充の注文を出してくれたらどうでしょう。
でも、このあたりまでは、すでに以前からアイデアはありましたし、すでに似たような仕組みも実現できています。
しかし、IoTが違っているのは、そういったセンサー技術だけで成り立っていないことなのです。
昨年あたりに話題となったビッグデータ、今年のキーワードのひとつAI。AIは、かなり以前から人工知能という日本語に置き換えられていましたが、今年のAIは、「深層学習」という言葉に変化していますが、これらは、別々の技術ではなく、一体となって、大きな変化を作り出そうとしています。
IoTで、いろいろな製品がいっせいに語りはじめるとしたら、その情報量は膨大なものになります。とても人間の頭脳では解析できるものではありません。それを統計的に解析し、傾向や特異値を割り出す技術がビッグデータです。そのデータを繰り返し学習することでAIは、より高度な判断や予測をする能力を身につけます。これが「深層学習」です。
植木鉢の水分量センサーは、単に水やりのタイミングしか教えてくれないように思えますが、それが、地域や広域のデータとなれば、気象センサーとしても活用でき、農業に適用すれば自動農場などとも結びつきます。
おむつからのデータで、お母さんに、今眠っている赤ちゃんがいつ目覚めるかの予想時間を知らせ他の用事を済ませたりもできるほか、健康管理や育児、介護、見守りなどヘルスケア全般のサービス提供にもつながります。
冷蔵庫が牛乳を注文する、それは家庭のレベルでの合理化ですが、ビッグデータが集まれば、市場予測や生産計画の精度は格段に向上します。
ただ、こうした夢の側面と、世知辛い現実とは、常に同居していて、すでに、こうした技術が一般化した段階での社会構造や労働環境の大きな変化が指摘されています。
自動運転車の登場は、おそらく、マイカーよりも大規模物流を支える大型トラックなどへの導入が先行して、物流分野に大きなインパクトを与えます。
宅配物流へのドローンなどの投入は日本などの都市環境や住宅環境ではなかなか難しいとしても、宅配ロッカーやコンビニ受け取りといった、受け取り手段が改良されれば、物流は一気に無人化・自動化される可能性があります。
食品のうち、生鮮品や一部の嗜好品、いわゆるコンビニ商品以外は、宅配中心となり、店頭で購入しなくなるようになれば、食品スーパーの活路はどこにあるのでしょうか。
「IoT、ビッグデータ、AIをはじめとした新たな技術により、世界的に『第4次産業革命』とも呼ぶべきインパクトが見込まれる」これは、経産省が4月に発表した日本再興戦略2016の中で、繰り返し語られている言葉です。
これまで成長を遂げてきた生協も、この新しいパラダイムの中でどのように新しい価値創造を遂げていくかが問われつつあります。