コープソリューション2016年12月1日号掲載
いよいよ年も押し詰まってきました。一年で最大の供給規模を誇る十二月ですが、この号を目にされる段階では、ほとんどの段取りを終えて、あとは成果を待つというのがあるべき姿なのですが、みなさんのところではどのような状況でしょうか。
前回、この時期であればこそ、来年度や来る2020年に向けての中期の計画を立案すべきということを書きましたが、背景に触れておきます。
2020年の東京オリンピックは、国際的な一大行事であると共に、この多様化が叫ばれ、価値観の基準も曖昧になってきた現代において、ひさびさに国民や社会が、一丸となって、一つのピリオドに向かっていく画期的な節目でもあります。
もちろん、個人だけでなく企業や組織においても、何らかの節目を設けてそれぞれに取り組むことはあると思いますが、それが、多くの企業や団体・組織、個人に至るまで、東京オリンピックまでにという目標が設定されて、それをめがけていくという現象は、おそらく、この数十年、この国にはなかったような気がします。
それだけに、この期間に目標を定めてチャレンジしていくことは、それぞれが個々に取り組むよりも大きな成果を生み出す可能性を秘めています。
では、どういったスケジュール感で計画を立てていけばいいのでしょうか。
まずは、到達点は2020年度のスタート時点をゴールとするべきでしょう。そして、17年度から19年度末までの3カ年の中期計画としてはどうでしょうか。
計画の対象範囲は、もちろん、インターネット事業としてもいいのですが、おそらくは、この数年間の流れからすると、インターネットはますます社会インフラとして影の存在、さらにいえば、当たり前の存在になります。もう少し範囲を広げて、インターネットインフラを活用するすべての事業活動としてもいいかもしれません。
あまり風呂敷を広げすぎると、計画の焦点がぼやけるかもしれませんので、具体的テーマでは実現性を加味して範囲を絞り込むことも重要です。
さて、中期計画の立案というと、まずは、現状の自己分析が重要です。その場合、どうしても現状の延長線上の計画をたててしまいがちになりますが、それから大きく乖離するような目標を立てる意識が必要です。というのも、インターネットやITを取り巻く情勢は、この数年で技術や環境が大きく変化しており、これから数年の間にも更なる変貌を遂げることは想像に難くありません。
もちろん、そういった技術的、環境的要素をどこまで期待するかはそれぞれの立場や生協の考え方もあるでしょうが、事業の死命を制するほどの規模の計画や対象範囲でないのであれば、よりチャレンジャブルな計画とすることをおすすめします。
そういったチャレンジャブルな計画が、無鉄砲で無責任といわれないためにも、技術動向に充分な目配りをしておく必要があります。
詳細にまでは触れられませんが、いくつかの分野については注目すべき技術動向が存在します。
まず、物流分野においては、自動運転技術ですが、こちらは規制緩和という属人的要素が影響を及ぼす可能性が高く、すぐさま現実には行き着きそうはありませんが、関連技術や人間が補完することにより近い状況までは実現できるものがあります。
この分野でのもう一つの注目は、UVerやInstacartなどのシェアリングエコノミーサービスとの連動でしょうか。
対顧客向けサービスにおいては、これまでハードルとされていた人的コストを大きく改善する技術としてAIが本格化することがあげられます。この先にあるのは、これまでコンピュータやインターネットに距離を置いていた世代や年代層に対して、あたかもひとが対応しているように思わせるヒューマンインターフェイス(UI)でしょう。スマホやタブレットを操作するのではなく、電話をかけ、対話するようなUIであればどんな利用イメージが実現するでしょうか。
言葉では知られるようになったビッグデータや仮想現実(AR)も、くらしをより便利にするために、組合員に寄り添い、ひとがサポートするような細やかな気配りを実現できれば、もはや「仮想」の世界ではなくなるのかもしれません。
こういった技術は、企業や研究所だけでは実現し得ないものです。くらしにより近い現場を持った生協が積極的に実験やチャレンジをすることで、本当に使える技術になると思われます。
変化を待つのではなく、積極的に取り入れ実験していくことも、中期計画レベルの時間軸があれば、取り組めるものだと思います。
ぜひ、チャレンジャブルな中期計画を描いていただきたいと思います。
いよいよ年も押し詰まってきました。一年で最大の供給規模を誇る十二月ですが、この号を目にされる段階では、ほとんどの段取りを終えて、あとは成果を待つというのがあるべき姿なのですが、みなさんのところではどのような状況でしょうか。
前回、この時期であればこそ、来年度や来る2020年に向けての中期の計画を立案すべきということを書きましたが、背景に触れておきます。
2020年の東京オリンピックは、国際的な一大行事であると共に、この多様化が叫ばれ、価値観の基準も曖昧になってきた現代において、ひさびさに国民や社会が、一丸となって、一つのピリオドに向かっていく画期的な節目でもあります。
もちろん、個人だけでなく企業や組織においても、何らかの節目を設けてそれぞれに取り組むことはあると思いますが、それが、多くの企業や団体・組織、個人に至るまで、東京オリンピックまでにという目標が設定されて、それをめがけていくという現象は、おそらく、この数十年、この国にはなかったような気がします。
それだけに、この期間に目標を定めてチャレンジしていくことは、それぞれが個々に取り組むよりも大きな成果を生み出す可能性を秘めています。
では、どういったスケジュール感で計画を立てていけばいいのでしょうか。
まずは、到達点は2020年度のスタート時点をゴールとするべきでしょう。そして、17年度から19年度末までの3カ年の中期計画としてはどうでしょうか。
計画の対象範囲は、もちろん、インターネット事業としてもいいのですが、おそらくは、この数年間の流れからすると、インターネットはますます社会インフラとして影の存在、さらにいえば、当たり前の存在になります。もう少し範囲を広げて、インターネットインフラを活用するすべての事業活動としてもいいかもしれません。
あまり風呂敷を広げすぎると、計画の焦点がぼやけるかもしれませんので、具体的テーマでは実現性を加味して範囲を絞り込むことも重要です。
さて、中期計画の立案というと、まずは、現状の自己分析が重要です。その場合、どうしても現状の延長線上の計画をたててしまいがちになりますが、それから大きく乖離するような目標を立てる意識が必要です。というのも、インターネットやITを取り巻く情勢は、この数年で技術や環境が大きく変化しており、これから数年の間にも更なる変貌を遂げることは想像に難くありません。
もちろん、そういった技術的、環境的要素をどこまで期待するかはそれぞれの立場や生協の考え方もあるでしょうが、事業の死命を制するほどの規模の計画や対象範囲でないのであれば、よりチャレンジャブルな計画とすることをおすすめします。
そういったチャレンジャブルな計画が、無鉄砲で無責任といわれないためにも、技術動向に充分な目配りをしておく必要があります。
詳細にまでは触れられませんが、いくつかの分野については注目すべき技術動向が存在します。
まず、物流分野においては、自動運転技術ですが、こちらは規制緩和という属人的要素が影響を及ぼす可能性が高く、すぐさま現実には行き着きそうはありませんが、関連技術や人間が補完することにより近い状況までは実現できるものがあります。
この分野でのもう一つの注目は、UVerやInstacartなどのシェアリングエコノミーサービスとの連動でしょうか。
対顧客向けサービスにおいては、これまでハードルとされていた人的コストを大きく改善する技術としてAIが本格化することがあげられます。この先にあるのは、これまでコンピュータやインターネットに距離を置いていた世代や年代層に対して、あたかもひとが対応しているように思わせるヒューマンインターフェイス(UI)でしょう。スマホやタブレットを操作するのではなく、電話をかけ、対話するようなUIであればどんな利用イメージが実現するでしょうか。
言葉では知られるようになったビッグデータや仮想現実(AR)も、くらしをより便利にするために、組合員に寄り添い、ひとがサポートするような細やかな気配りを実現できれば、もはや「仮想」の世界ではなくなるのかもしれません。
こういった技術は、企業や研究所だけでは実現し得ないものです。くらしにより近い現場を持った生協が積極的に実験やチャレンジをすることで、本当に使える技術になると思われます。
変化を待つのではなく、積極的に取り入れ実験していくことも、中期計画レベルの時間軸があれば、取り組めるものだと思います。
ぜひ、チャレンジャブルな中期計画を描いていただきたいと思います。