コープソリューション2017年8月1日号掲載
よその失敗は面白い?
中国からのニュースというと、日本では考えられないほど前近代的であったり、民度が低いと感じさせるようなものが多いです。それは、最近流行の、外国人目線で日本や日本文化を称揚するテレビ番組が、日本人の自尊心を煽るかたちで視聴率を稼いでいるのと表裏一体というべき風潮かもしれません。
もちろん、日本の文化を外国人という客観視線からとらえることで、われわれ自身が再認識するということについては、大いに賛成するところです。
つい数ヶ月前にも、中国で自転車をシェアするサービスが登場しましたが、自転車を自宅に取り込んだり、勝手に鍵を付け替えて、自分しか使えなくするという不届きな輩が多くて、事業継続が難しくなったという、「それ見たことか」調のニュースが届きました。
失敗を糧に成功へと導くパワーは
首都圏を中心にお台場や秋葉原で自転車シェアのサービスが始まっていますが、日本ではGPSで位置管理がされていたり、返却場所が決まっていることなどから、自転車が行方不明になったりすることは少ないそうですし、日本人の公徳性の高さは、遜(へりくだ)ることなく、誇っていいものだと思います。
結局、中国での自転車シェアのサービスは、この話で、一件落着かと思われたのですが、最近、上海を訪れた人などの情報から、自転車シェアが爆発的に広まっているということがわかりました。
GPSをつけたり、都心の一等地に専用の駐輪スペースを確保したり、岩盤と呼ばれる各種規制を突破する労力とコストを考えると、こうした新規ビジネスを立ち上げることなど、我が国においては不可能に近い状況です。
それを彼らは、GPSで位置情報を把握する代わりに、深夜、人手で自転車を回収してまわり、一等地を確保する代わりに、キレイに整理整頓するという条件の下で、道路や歩道上に並べる許可を取って見事にビジネスとして成功させたばかりか、このモデルを見て新規に参入する事業者も爆発的に増え、もはや、中国の主要都市では当たり前のシェアリングサービスになりつつあるといいます。
また、どこででもシェアできるとなると、わざわざ、自分で取り込んで管理したりすることのほうが手間となって、行方不明になる自転車も減少するという好循環に入っていったようです。
新たなシェアリングエコノミーの登場
この自転車シェアの成功に触発された、ベンチャリストが目をつけた次なるビジネスが、傘のシェアでした。
自転車と違って、シェア傘の需要は雨が降り出した瞬間に集中することなど、容易に難しさが想像できますし、傘そのものには自転車ほどの資産価値がないことから、取り込むというより、返し忘れるという不作為による行方不明は防ぎようがないと思われます。
案の定、原価千円のシェア傘30万本、総額3億円が、行方不明になってしまったようです。
それでもへこたれないのが中国のベンチャリスト
返ってこない原因は、返すのに適当な柵や手すりが見つからなかったのだろうと、さらに3千万本、3百億円分のシェア傘を中国各地に配置していくということです。
この良くいえば挑戦的、端的に表現すれば「へこたれない」姿勢こそが、新規ビジネスを成功へと導く原動力なのかもしれません。
一方で、日本を見れば、ビジネスに限らず失敗を許容しない他罰的、不寛容ななムードがネットを中心に広まっていることもあって、個人も、企業もなかなか挑戦的な取り組みに手を出し切れていない感があります。
さらなる可能性とアイデアが埋まっている
とはいえ、中国の先進事例を見ていると、社会生活に必要な様々な耐久財の多くが、シェアできる可能性を秘めているということにもなります。
これからの時代、耐久財は所有からシェアへと変化すると断言する識者も増えています。
シェアリングエコノミーを支える基盤技術は、スマホとインターネットであり、現状の普及度合いから見ても、インフラはほぼ整いつつあるといって間違いないでしょう。
自転車、傘に続く次なる耐久財はなんでしょうか。
耐久財だけでなく、サービスもシェアの対象になります。
帰宅時間帯や終電近くでのタクシーシェアなどはどうでしょうか。
駅から同じ地区へと帰る人たちがWebサイト上で手を上げて、3~4人集まればタクシーに相乗りして帰宅、料金は人数で分割してサイト上でクレジット決済するというものです。
ちょっと考えても、運輸行政の岩盤規制や課題は山積みですが、何かアイデアを出し合えば画期的なサービスとして成り立ちそうな気がします。
よその失敗は面白い?
中国からのニュースというと、日本では考えられないほど前近代的であったり、民度が低いと感じさせるようなものが多いです。それは、最近流行の、外国人目線で日本や日本文化を称揚するテレビ番組が、日本人の自尊心を煽るかたちで視聴率を稼いでいるのと表裏一体というべき風潮かもしれません。
もちろん、日本の文化を外国人という客観視線からとらえることで、われわれ自身が再認識するということについては、大いに賛成するところです。
つい数ヶ月前にも、中国で自転車をシェアするサービスが登場しましたが、自転車を自宅に取り込んだり、勝手に鍵を付け替えて、自分しか使えなくするという不届きな輩が多くて、事業継続が難しくなったという、「それ見たことか」調のニュースが届きました。
失敗を糧に成功へと導くパワーは
首都圏を中心にお台場や秋葉原で自転車シェアのサービスが始まっていますが、日本ではGPSで位置管理がされていたり、返却場所が決まっていることなどから、自転車が行方不明になったりすることは少ないそうですし、日本人の公徳性の高さは、遜(へりくだ)ることなく、誇っていいものだと思います。
結局、中国での自転車シェアのサービスは、この話で、一件落着かと思われたのですが、最近、上海を訪れた人などの情報から、自転車シェアが爆発的に広まっているということがわかりました。
GPSをつけたり、都心の一等地に専用の駐輪スペースを確保したり、岩盤と呼ばれる各種規制を突破する労力とコストを考えると、こうした新規ビジネスを立ち上げることなど、我が国においては不可能に近い状況です。
それを彼らは、GPSで位置情報を把握する代わりに、深夜、人手で自転車を回収してまわり、一等地を確保する代わりに、キレイに整理整頓するという条件の下で、道路や歩道上に並べる許可を取って見事にビジネスとして成功させたばかりか、このモデルを見て新規に参入する事業者も爆発的に増え、もはや、中国の主要都市では当たり前のシェアリングサービスになりつつあるといいます。
また、どこででもシェアできるとなると、わざわざ、自分で取り込んで管理したりすることのほうが手間となって、行方不明になる自転車も減少するという好循環に入っていったようです。
新たなシェアリングエコノミーの登場
この自転車シェアの成功に触発された、ベンチャリストが目をつけた次なるビジネスが、傘のシェアでした。
自転車と違って、シェア傘の需要は雨が降り出した瞬間に集中することなど、容易に難しさが想像できますし、傘そのものには自転車ほどの資産価値がないことから、取り込むというより、返し忘れるという不作為による行方不明は防ぎようがないと思われます。
案の定、原価千円のシェア傘30万本、総額3億円が、行方不明になってしまったようです。
それでもへこたれないのが中国のベンチャリスト
返ってこない原因は、返すのに適当な柵や手すりが見つからなかったのだろうと、さらに3千万本、3百億円分のシェア傘を中国各地に配置していくということです。
この良くいえば挑戦的、端的に表現すれば「へこたれない」姿勢こそが、新規ビジネスを成功へと導く原動力なのかもしれません。
一方で、日本を見れば、ビジネスに限らず失敗を許容しない他罰的、不寛容ななムードがネットを中心に広まっていることもあって、個人も、企業もなかなか挑戦的な取り組みに手を出し切れていない感があります。
さらなる可能性とアイデアが埋まっている
とはいえ、中国の先進事例を見ていると、社会生活に必要な様々な耐久財の多くが、シェアできる可能性を秘めているということにもなります。
これからの時代、耐久財は所有からシェアへと変化すると断言する識者も増えています。
シェアリングエコノミーを支える基盤技術は、スマホとインターネットであり、現状の普及度合いから見ても、インフラはほぼ整いつつあるといって間違いないでしょう。
自転車、傘に続く次なる耐久財はなんでしょうか。
耐久財だけでなく、サービスもシェアの対象になります。
帰宅時間帯や終電近くでのタクシーシェアなどはどうでしょうか。
駅から同じ地区へと帰る人たちがWebサイト上で手を上げて、3~4人集まればタクシーに相乗りして帰宅、料金は人数で分割してサイト上でクレジット決済するというものです。
ちょっと考えても、運輸行政の岩盤規制や課題は山積みですが、何かアイデアを出し合えば画期的なサービスとして成り立ちそうな気がします。