2018年1月1日月曜日

進化したSNS広告にチャレンジ[連載第28回]

 生協のインターネット事業-新たな挑戦の時 
コープソリューション2017年12月1日号掲載

最近の統計によればネット利用は7割がスマホからとなっています。これまでのサイト構築や広報なども、まだまだPC寄りの対応となっています。Web広告もしかり。増加するスマホ利用者に最もアプローチできるといわれる、旬な広告手法「SNS広告」についてご紹介します。

■ アンケートと異なる実態

ある生協でネットからの宅配利用者にアンケートを実施したところ、PCから注文するという回答が過半数以上を占めました。
ところが、宅配のネット注文全体を見ると、この生協でもスマホからの注文がPCと並んで約半数となっています。
こういった実態と乖離した結果になった理由は、ひとつには年代層が高い、コアな組合員のほうが、アンケートなどへの反応率が高いこともありますが、アンケート募集がメルマガによって行われたことも一因だったようです。
詳細は、別の機会にお話ししますが、メルマガは、どうしてもPC利用者に届きやすく、スマホ利用者に響きにくいという実態があります。

■ PC寄りのWebサイト

同じような傾向として、Webサイトも、どちらかといえばPC利用者に利用されやすい傾向があります。限られた画面サイズのスマホに最適化されたWebサイトが、まだまだ少ないことが理由ではないかと思います。
そうなってくると、すでに保有率が70%を越え、生協の宅配注文でもPCを凌駕しつつあるスマホの利用者に対して、どのようにアプローチすればいいのかが課題となってきます。

■ Web広告の限界

生協の宅配事業で、業績を左右する要素のひとつとして組合員拡大があります。生協は、拡大のために多大なリソースを投入していますが、新聞不振の昨今、折り込みチラシ投入も反応が少なく、ポスティングなどの人海戦術では限界があり、ここ数年、Webでの広告にシフトしてきています。
ただ、これも、リスティング広告と呼ばれる、検索キーワードを手がかりとして結果画面に広告を表示するという、受動的要素が強い広告手法で、一定の成果は上げていますが、状況を大きく変えるところまでは至っていません。
しかも、スマホでは、検索結果でも画面サイズの限界から広告が極めて表示し難くなっています。
これまでのPCと、利用シーンも機器の特性も異なるスマホ向けには、それに適した対応が必要なのは間違いありません。

■ 注目されるSNS広告

現在、Web広告の世界で、注目されているのがSNS広告です。
スマホ利用者の半数以上、特に、生協がこれからの組合員として期待する20歳から40歳代の女性に限れば、70%以上が利用するコンテンツがTwitterやFaceBookなどのSNSです。タイムラインと呼ばれる投稿や記事中に表示される広告の視認率は、極めて高くなっています。
理由は、スマホに特化した記事や投稿の表示形式に合わせることで、広告が目にとまりやすく、じゃまにならないことです。SNSの場合、性別や年代、居住地域などがあらかじめ登録されているため、広告を表示する対象者が容易にセグメント(抽出)できることも、検索など不特定多数相手の手法に比べて有利です。
居住地域は、大きくは都道府県、小さくは市区町村の行政区が一般的ですが、SNSの登録情報とは別に、とある場所への到達情報を地域や、場所によっては商業施設単位で収集する手法もありますので、居住者だけでなく、そのエリアへの通勤者やよく買い物に来る人を対象にすることも可能です。
このセグメントの場合、競合するスーパーへの訪問者にだけ生協店舗の利用を誘導する広告を表示させることも可能になります。
こういった情報が収集できるのも、位置情報をはじめとする多種な情報を保持できるスマホならではの利点ですし、もちろん、利用者の同意のもとで収集された公正な情報であることはいうまでもありません。

■ 早い者勝ちの媒体は

SNS広告の中でも、いま、最も旬な媒体はLINEです。これまでは、大企業を中心に展開してきましたが、最近、出稿の審査や費用面でのハードルが緩和されてきました。月間アクティブユーザー5千万人といわれるLINEへの広告出稿は、早い者勝ちのチャンスかもしれません。