生協のインターネット事業-新たな挑戦の時
コープソリューション2018年4月1日号掲載
Web加入の仕組みが整備されつつあります。これによって、生協も一般のECサイトのように商品プロモーションを前面に押し立て、それを入り口に加入から宅配利用までを一気通貫に利用できるはずなのですが。意外なハードルが実現を阻んでいるようです。
■ プロダクトファーストとは
ある調査によると、商品購入の場合、以前は特定のECサイトに登録して、そのサイト内で希望する商品を検索する、おすすめ商品を選ぶという買い物行動が多かったようです。最近では、通常の検索サイトで先に商品を検索して、そこから最安値のECサイトで購入するというパターンも増えてきています。
そのため、アマゾンなどの大手ECサイトは、検索サイトでどの商品を検索しても、自サイトの表示を上位に出すような広告を表示しています。
プロダクトファーストともいうべき買い物行動ですが、そこで課題となるのがサイトごとに会員登録や支払い方法の登録が必要になる点です。
これまでは、前出のアマゾンのような巨大なECサイトや、楽天市場のようなモール型サイトを利用することで毎回登録する手間を省くという流れがありました。
一方で、コモディティ商品以外の、いわゆるレアな商品は専門業者のECサイト、やや高額な家電品などは価格コムなどの価格比較サイトで最安値のECサイトを探して注文するというのもよくある買い物行動です。
ある程度EC慣れをしてくると、めざす商品を手に入れるためには、登録の手間はそれほど大きなハードルではなくなるようです。
■ メンバーファーストな生協
ここで、生協に目を転じてみましょう。この稿でも何度も取り上げたように、生協のEC対応は一般のECとも比肩できるレベルにあると云えます。ただ、生協はどちらかといえば、プロダクトファーストではなく、メンバーファースト、商品よりも組織や会員メリットを前面に出しているという違いがあります。
もちろん、生協にはミックスキャロットなどに代表されるコープ商品というトップブランドがあり、その魅力もあって多くの組合員に支持されてきたわけです。
しかし、生協のスキームは、あくまで商品はひとつの看板であって、まずは組合員になって生協の様々な魅力を感じ、商品やサービスを利用してもらうというものです。
もちろん、生協加入には出資金という他の会員登録にはない手続がありますので、生協という組織に加入するということをしっかり理解していただく必要はあります。
■ 変化はWeb加入から
ただ、従来からの生協利用までの流れが、変化しつつあることも確かなのです。
それは、ここ数年で大きく進化してきたWebからの生協加入です。
店舗利用ではなく、宅配利用の場合、生協への認知から加入手続き前の資料請求はかなり以前からWebが中心となっていました。一方で、実際の手続や出資金の納付などは対面による必要がありました。
現在では、多くの生協でWebから生協加入の手続や出資金の支払いが可能になってきています。
これによって、生協の商品をWeb上で見つけ、それを購入したいために生協に加入するという流れができる状況になりました。
認知や関心というものは、そのタイミングを逃すとあっという間にその熱は失われてしまいます。
ECサイトの多くが、会員登録から注文までを一気通貫に手続きできるのも、その熱が冷めないうちに顧客を取り込んでしまおうという狙いでもあります。
これまで、Webでの資料請求から注文の開始まで1週間以上が必要だった生協利用が、一般ECと同様に、思い立ったときに生協の加入から宅配の注文までが完結できる仕組みが整いつつあるわけで、これで、ようやく生協もプロダクトファーストへの対応が可能となったといえます。
■ 注文までたどり着けない
残念なことに、加入手続から宅配の注文まで、すべてWeb上で完結できている生協は、一部にとどまっています。
宅配の配達する曜日や時間をWeb上で確定することが難しいというのが理由です。システム上や配送現場の運用上のハードルはあるにせよ、仮でも構わないので配送日時の登録を可能として、注文まで完結できるWeb加入の仕組みの実現が急務です。
事実、完結できている生協では、Web加入の伸張が尋常ではないという成果も報告されています。
また、プロダクトファーストということで、あたかも特定の商品購入のためだけの加入のように感じられるかもしれませんが、Web加入するのはECに慣れた若い年代が多いということもあって、まだ紙のカタログが手元にない加入直後の時点からWebカタログを利用して既存の組合員と同程度の品目数を注文されていることも付記しておきます。
■ プロダクトファーストとは
ある調査によると、商品購入の場合、以前は特定のECサイトに登録して、そのサイト内で希望する商品を検索する、おすすめ商品を選ぶという買い物行動が多かったようです。最近では、通常の検索サイトで先に商品を検索して、そこから最安値のECサイトで購入するというパターンも増えてきています。
そのため、アマゾンなどの大手ECサイトは、検索サイトでどの商品を検索しても、自サイトの表示を上位に出すような広告を表示しています。
プロダクトファーストともいうべき買い物行動ですが、そこで課題となるのがサイトごとに会員登録や支払い方法の登録が必要になる点です。
これまでは、前出のアマゾンのような巨大なECサイトや、楽天市場のようなモール型サイトを利用することで毎回登録する手間を省くという流れがありました。
一方で、コモディティ商品以外の、いわゆるレアな商品は専門業者のECサイト、やや高額な家電品などは価格コムなどの価格比較サイトで最安値のECサイトを探して注文するというのもよくある買い物行動です。
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日生協加入サイトの商品画像 |
■ メンバーファーストな生協
ここで、生協に目を転じてみましょう。この稿でも何度も取り上げたように、生協のEC対応は一般のECとも比肩できるレベルにあると云えます。ただ、生協はどちらかといえば、プロダクトファーストではなく、メンバーファースト、商品よりも組織や会員メリットを前面に出しているという違いがあります。
もちろん、生協にはミックスキャロットなどに代表されるコープ商品というトップブランドがあり、その魅力もあって多くの組合員に支持されてきたわけです。
しかし、生協のスキームは、あくまで商品はひとつの看板であって、まずは組合員になって生協の様々な魅力を感じ、商品やサービスを利用してもらうというものです。
もちろん、生協加入には出資金という他の会員登録にはない手続がありますので、生協という組織に加入するということをしっかり理解していただく必要はあります。
■ 変化はWeb加入から
ただ、従来からの生協利用までの流れが、変化しつつあることも確かなのです。
それは、ここ数年で大きく進化してきたWebからの生協加入です。
店舗利用ではなく、宅配利用の場合、生協への認知から加入手続き前の資料請求はかなり以前からWebが中心となっていました。一方で、実際の手続や出資金の納付などは対面による必要がありました。
現在では、多くの生協でWebから生協加入の手続や出資金の支払いが可能になってきています。
これによって、生協の商品をWeb上で見つけ、それを購入したいために生協に加入するという流れができる状況になりました。
認知や関心というものは、そのタイミングを逃すとあっという間にその熱は失われてしまいます。
ECサイトの多くが、会員登録から注文までを一気通貫に手続きできるのも、その熱が冷めないうちに顧客を取り込んでしまおうという狙いでもあります。
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エフコープのWeb加入ページ |
■ 注文までたどり着けない
宅配の配達する曜日や時間をWeb上で確定することが難しいというのが理由です。システム上や配送現場の運用上のハードルはあるにせよ、仮でも構わないので配送日時の登録を可能として、注文まで完結できるWeb加入の仕組みの実現が急務です。
事実、完結できている生協では、Web加入の伸張が尋常ではないという成果も報告されています。
また、プロダクトファーストということで、あたかも特定の商品購入のためだけの加入のように感じられるかもしれませんが、Web加入するのはECに慣れた若い年代が多いということもあって、まだ紙のカタログが手元にない加入直後の時点からWebカタログを利用して既存の組合員と同程度の品目数を注文されていることも付記しておきます。