2018年6月1日金曜日

PC時代のままになっていませんか?[連載第33回]


 生協のインターネット事業-新たな挑戦の時 
コープソリューション2018年5月1日号掲載

 ネット注文から生協を利用し始める人たちから、生協の注文はどのように評価されるのでしょう。現状でも、決して遅れをとっているわけではありませんが、スマホ中心の時代にどういった対応が必要なのでしょう。そして、その次の時代への対応は?

■ ネット注文のベテラン登場

 前回、生協のECサイト利用者も、組合員だから、生協宅配を利用しているからといった理由で生協のネット注文を始める人ばかりではないとお話ししました。
 また、限られたケースですが、ネット上で生協の商品を見初めて、そこから生協加入、宅配利用へと一気に進んでいく人たちが登場してきています。
 はじめに生協ありきではなく、はじめにネット注文ありき、という人たちは、今後さらに増えていきます。
そのときに、ネット注文のベテランたちから見た生協の注文はどう評価されるでしょうか。

■ 改善された使い勝手

 この10年ほどの間に生協の注文も大きく進歩しています。いわゆるネット注文が提供する方式のほとんどを提供しています。
 かつては、カタログを見ながら番号だけを打ち込む注文方法が大半でしたが、ここでも取り上げたWebカタログが登場し、アマゾンなどでも多用されている過去の履歴や購入傾向から個人別におすすめをするレコメンドなども整備されつつあります。
 しかし、ネット注文の世界は日々進化しています。現状で安寧としていると、すぐに取り残されてしまいます。
 特に、現状で最も急ぎ対処しなくてはならないのが、何度もお話ししているスマホでの注文です。

■ 様変わりするスマホ注文

 最近のスマホでの注文インターフェイスは大きく様変わりしています。
 これまでのような系統だったカテゴリーやテーマなどはさておき、とにかくインパクトのある商品画像をこれでもかと並べてくる手法なども、若い世代には抵抗感なく受け入れられています。ファッション系やホビー系の利用者からはアマゾンのサイトですら古いと言われる状況です。
 さいわいにして、生協のネット注文利用者はそこまで尖った層は少ないでしょうけれど、いずれは、そういう世代が生協利用者としてやってくる日はそう遠くありません。

■ PCからの脱却が急務

 では、生協のネット注文が取り組むべき優先課題はなんでしょうか。
 まずは、パソコン向けに作られた現在の注文方法を見直すことから始めなくてはいけません。
 確かに、デザインやページの構成などは、徐々にスマホ向けに見直されてきてはいます。
 しかし、ひとつひとつの注文方法は、相変わらずパソコン時代から脱却できていません。
 注文方法として一番ベーシックな番号注文は、相変わらず注文番号と数量を入力する枠がいくつも並んで、ひとつずつタップしながら数字を選んで入力する仕様です。これは、テンキーが存在するパソコンなら便利でしょうが、スマホ向きではありません。

■ アプリのノウハウを生かす

 解決策は意外に簡単です。
 スマホが普及しはじめた当時、アプリブームの中で製作した電卓型の注文アプリを多くの生協でお持ちではないでしょうか。ただ、アプリは、所詮インストールという壁があって、利用の比率は2桁に届くかどうかでとどまっています。
 ところが、この電卓イメージの機能は今日ではアプリでなくても、WEBで簡単に提供できるのです。
 まだまだ、生協の商品カタログはショッピングコンテンツとしての魅力を堅持しています。カタログを見ながらスマホ片手に、サクサク注文できるツールが必要なのです。
 旧来からの注文方式で、Webカタログもスマホ向けに進化し始めています。小さな画面であっても、ストレスのない拡大縮小やページめくりができ、個人別にカタログを出し分けてくれ、中断しても同じページから続きを表示してくれるなど、空き時間をうまく活用できる注文方式へと進化して、今、一番伸びている注文方式といわれています。

■ 新たな注文のスタイルをデザイン

 こうした、旧来からの注文方法を新しい使い方へ改善していくことも重要ですが、その一方で忘れてはいけないのが、次の時代に適合できる新たな注文のスタイルをデザインすることです。
レコメンドなど裏側での仕組みの進化も必要でしょうし、ひとつの方式だけで、すべてのニーズに適合できるとは思えません。
 デバイスも、スマホから次のステージへと進化してくると思われます。こうした時代を先取りする取り組みも生協に求められています。
 おそらくは、スマートスピーカーなどを中核とした複合型のホーム注文システムではないかと考えています。
 すべてはこれからですが、未来の注文システムを生協から生み出していくチャレンジを進めたいと思っています。ご興味のある方、一緒に考えてみませんか?