2013年12月29日日曜日

ニールセン2013年 日本のインターネットサービス訪問者数ランキングを発表

 テレビ視聴率や広告視認率などの調査分析で有名なニールセンが、インターネット視聴率調査というのを行っています。12月25日に公表さ れた「2013年 日本のインターネットサービス訪問者数ランキング」では、今年1年のインターネット視聴の特徴的な傾向が明らかとなっています。

 人口構成比で33%となった国内でのスマートフォンの保有率は、昨年から10%という驚異的な伸長を示しています。(出典が明記されていないのがやや気になりますが、他の統計データとも符合しますから間違った情報ではないでしょう。)

 こういった情報から推測されていたのは、これまでのPCサイトからスマホサイトへの利用者の移り変わりです。特に、日本においては、まだPCはひ とりに1台という普及状況にはなく、一家に1~2台という水準だったわけです。ところが、携帯電話は、もともとの成り立ちから、家庭、家族、という単位で はなく、個人に対して普及してきたものです。

 利用シーンも、これまで家庭内では、主にご主人や子供さんが主たる利用者であったPCに比べて、スマートフォンの場合は、シュフモ自分専用のものを持つという状況になりますから、インターネット利用も自分のスマートフォンからという流れが主流になってくると思われます。

 この流れは、主たる利用者であったご主人や子供さんについても同様で、PCを立ち上げたり、PCのある場所まで移動するよりも、手早く使えて、いつも手元にあるスマートフォンの利用度合いが高くなるのは当然の流れだと考えられます。

 ただ、動画など、引き続き広帯域や処理性能、画面の大きさなどが重要なコンテンツについては、PCの役割が大きいようです。このあたりは、今後の インターネットTVやスマートフォンとデジタルテレビのWI-FI接続などによって変化してくる可能性もあり、今後の注目点でしょう。

 ECサイトの傾向も、PC離れが進みつつあることは間違いないでしょう。これには、ECサイトの店頭比較購入というスタイルも影響しているようで す。店頭比較購入というのは、実際の商品を店頭で確認してから、その場でネット上と売り場の価格を比較し、ネット上が安ければその場でネット購入するとい うものです。

 即日や翌日配達されることからすれば、店頭で購入して持ち帰る手間と比較しても、充分待てる時間ということで、リアル店舗も否応なくネットとの価格競争に巻き込まれるという、あらたな局面を招いています。

 アプリとしてLINEがトップとなったことも、今年の流れの中では驚くには当たりません。ただ、アプリトップ10のなかで、Googleのアプリが占める割合が、他を圧倒していることも忘れてはいけません。

 LINEそのものの評価は、また改めて書かせていただきますが、基本のスキームとしては、従来からのチャットの流れを引き継いだ、リアルタイム短文交換型ツールです。このことは、無料通話ツールとしてはあまり使われていないことからもわかります。

 最後に、タブレットの保有について書かれていますが、この点についても、出典は定かではありませんが、ニールセンの調査データのいずれかだと思われますので、まず、信憑性は高いと思われます。

 昨年の10%が、18%へ大きく伸長はしていますが、もう少し高い伸びを想定していただけに、やや伸びが鈍化している可能性もあるのかと思えます。ただ、スマートフォンとあわせて、引き続き高い伸長を示していくことは間違いないようです。
以下は、下記サイトの引用です。

http://www.netratings.co.jp/news_release/2013/12/Newsrelease20131225.html
[出典]TOPS OF 2013: DIGITAL IN JAPAN
~ニールセン2013年 日本のインターネットサービス訪問者数ランキングを発表~

2013/12/25 [データ]
・    2013年 パソコンからのインターネットサービス利用は減少傾向
・    スマートフォンアプリ利用者数1位はLINE 月平均2,119万人利用
・    タブレット保有率は18%(2013年10月時点) 1年間で8ポイント増
メディア視聴行動分析サービスを提供するニールセン株式会社(本社:東京都 渋谷区、代表取締役社長兼COO:武智 清訓)は、スマートフォン視聴率情報Mobile NetView(モバイル・ネットビュー)、および、PC版インターネット視聴率情報NetView(ネットビュー)のデータをもとに、2013年の日本 におけるスマートフォンとPCの2スクリーンでのインターネットサービスの訪問者数ランキングを発表しました。

2013年は、スマートフォンの普及に伴いインターネットの各種サービスの 利用がパソコンからスマートフォンへ移行した、転換の年となりました。パソコンからのインターネットサービス訪問者数TOP10をみると、全てのサービス で2012年と比べて訪問者数が減少していました(図表1)。しかし、動画視聴やオンラインショッピングは依然パソコンからの利用も多く、YouTube は毎月平均2,720万人の人が利用し、Amazonは毎月平均2,342万人の人が利用し、それぞれのサービスカテゴリ内でトップでした(図表2、図表 3)。

スマートフォンの保有率は、2012年10月時点の23%から2013年 10月時点で日本人の約3人に1人(33%)が保有するまでに成長しました。スマートフォンの保有率が高まる中、アプリ利用者数でトップだったのはコミュ ニケーションアプリのLINEで、今年4月から10月の間、毎月平均で2,119万人が利用していました。また、トップ10アプリの中で、4月からの半年 間で最も成長していたのはYahoo! JAPANで、ユニークユーザー数で45%増加していました(図表4)。
なお、タブレット保有率は、昨年10月時点では日本人の10%しか保有していなかった状況から、2013年10月時点で18%にまで成長しており、2014年はスマートフォンだけでなく、タブレットの利用状況にも注目していく必要がありそうです。

図表1;2013年 日本におけるパソコンからの訪問者数TOP10












Source:Nielsen NetView 家庭および職場のPCからの利用
※2013年1月から10月までのデータを使用。平均月間訪問者数にてランキング
※データの読み方;”2013年は毎月、平均で4,658万人がYahoo!に訪問していた。”


図表2;2013年 動画サイト 日本におけるパソコンからの訪問者数TOP5








Source:Nielsen NetView 家庭および職場のPCからの利用
※2013年1月から10月までのデータを使用。平均月間訪問者数にてランキング


図表3;2013年 ECサイト 日本におけるパソコンからの訪問者数TOP5








Source:Nielsen NetView 家庭および職場のPCからの利用
※2013年1月から10月までのデータを使用。平均月間訪問者数にてランキング


図表4;2013年 日本におけるスマートフォンアプリケーション利用者数 TOP10













Source: Nielsen Mobile NetView スマートフォンからの利用
※2013年4月から10月までのデータを使用。平均月間利用者数にてランキング
※増減率は、4月単月の利用者数と10月単月の利用者数を比較

2013年11月16日土曜日

イオン「9億人のお客様といかにつながるか~リアル小売業のネットビジネスへの挑戦~」

ネットショップ担当者フォーラム
「9億人のお客様といかにつながるか~リアル小売業のネットビジネスへの挑戦~」
イオンeコマース事業CEO 小玉毅 氏
2012年12月6日(木)10:00~10:40
これまで、国内最大手として小売業界をリードしているイオンですが、あまりECに関しては名前が出ていなかったことが不思議でした。
たしかに、昨年春にNTT西日本などと組んで「手のひらにイオンスーパー、主婦目線のタブレット活用「暮らしサポートサービス」開始」などの取り組みもありましたが、その後はあまりうわさを聞かない状況だったのも事実です。
今回のセミナーでは、小玉氏自身いわく、「eコマース事業では最後発のイオン」がどう取り組んでいこうとしているかが興味のあるポイントでした。
まず、最初の視点は、「リアルビジネスからみたネットビジネス」ということでした。9億人のお客様とつながることの意味を考えたそうです。9億人と は、イオンのショッピングモールの年間レジ通過客数で、昨年度国内小売業ナンバーワン。さすがに、サイトのページビューくらいでしか登場しない数字の大き さです。
なぜ、こういった数字を上げたかというと、ショッピングモールには、人間同士をつなぐ役割があると考えているからだそうで、Webでもお 客様とつながること、それがネットビジネスの第一歩ではないか、とのこと。この考えの背景として、宮台真司著、新書『日本の難点』(幻冬舎新書)にあるフ レーズ「これからの消費は物語なんだ。」という言葉を上げていました。
また、ショッピングモールは様々な場を提供している。例えば、東北の被災地でSCを避難所として提供した事例、これらも、本社の指示ではなく現場判 断だったというエピソードを挙げ、そういった場の提供をいわゆる祖父母、父母、子供の3世代にわたって展開することができるとも考えていると話していまし た。
余談ですが、1758年(宝暦8年)岡田屋として創業し254年が経過しているイオンですが、250年以上続いている会社は日本でも50社程度。ほとんどが技術の会社でサービス業の会社ではないということでした。
では、今回のWebへの展開をどう位置づけているかについては、いわゆるデジタルシフトとして、アジアシフト、都市シフト、シニアシフトとあわせて イオンの4シフトと呼んでいるそうです。たしかに、流通業界では、Webでは最後発です。ただし、ある評論家曰く、再後発にして最大規模、つまり、最後に 登場する横綱や真打ちにみずからをなぞらえているのでしょう。イオンならではの自信を感じさせます。
キャッチコピーも「ネットのイオン始まります」。こうしてイオンスクエアがスタートしました。広告会社は博報堂だそうです。
ね らいは、お客様が集う場所にしたい。最大の特色は、リアル小売業のサイトでありながらECサイトにしていないこと。実は、これは、苦し紛れに考えたこと だったそうですが、ECサイトは、ネットスーパーなどでも展開しており、今回はもっと遠大な構想でスタートさせたようです。
その一番目は、共通ID。これまでも、さまざまなWebサイトやECサイトはあったのですが、これを統合、共通ID、共通決済にしました。
共通IDは、約700万IDでスタートし、現在は3200万IDとなっているそうです。
ひとつのIDでリアルからWebまで、顧客の行動管理ができることなどから、ゆりかごから墓場まで一生涯にわたってのサービスを志向しているということでした。
その他の取り組みとして以下のようなものがあるようです。
WAON通貨圏…地域の様々な団体や行政と取り組みを進めているようです。いわゆる地域通貨構想に相当していながら、電子マネーとしても国内最大になっています。
長時間滞在…長く滞在してもらうと売り上げが伸びるというのは、ショッピングモールもWebも同じではないかという仮説から取り組んでいます。
記憶に残る情報発信…グリコポッキーとのタイアップ企画では、売り上げ4倍増を実現しました。このことからブランドとの接触時間が重要だとわかりました。
デジタルサイネージやレジそのものが情報発信機会になってきています。レジは、全国で3万台もあるので、情報発信としては有力ツールになると考えています。
ショッピングモール内で、さまざまな位置情報を検索できる機能は、スマホで簡単に売場や商品ショップが検索できるツールとして提供しています。
小玉氏が次の一手として考えていることとしては、O2O(ONLINE to OFFLINE)は売り手発想で、All Line発想、お客様は様々な形でつながっていることを前提にしてビジネスモデルを組んでいかなくてはならないということ。
日本における100兆円のコモデティは今後多くは増えないし、今後、その1割がネットに流れると想定されるそうです。ネット企業はリアルに出たがっている。一方、リアル企業はその逆。お客様が興味を持ったときにどうつながれるかがポイントになるだろうということでした。
ネットとリアルを経験してわかったことは、両者が同じではないということだそうです。
顧客の期待度も全く違う。店頭での顧客は大変厳しい。 妙な言い方だが、ECの世界ではそうではなく、ある程度あきらめる雰囲気があるということ。この発言には納得できる部分とできない部分とがありましたが、 消費者の側がある程度判断したことで、自己責任を感じているのがネット、店任せなのがリアルという意味なのかとも思いました。
リアルのショッピングモールは買うつもりがなくても来店する。遊びに行って時間を楽しむ場所。これをネット上で実現できないか。その一方で、忙しい ときは検索エンジンや価格比較サイトをうまく活用する。これがリアルとネットの融合という意味ではないかと小玉氏は考えているようです。
また、安心して買ってもらうために、本来の小売業の役割は、「消費者代位機能」…小売業者が消費者に成り代わって目利きの機能を発揮するというもので、その意味でネットは、代位機能を果たしているか、ただ商品を並べればいいのかという疑問もEC側に提起していました。
単にイオンがECに同取り組みかというテクニカルな問題ではなく、ネットとリアルの関わりをこれからどう考えるかという点で、いくつかの示唆に富む 指摘や提言があったセミナーでした。40分という時間と内容を比較して、かなりプロフィットの大きかったセミナーだったと感じました。