コープソリューション2016年6月1日号掲載
ここ数年、One to One、あるいは、個人対応型という言葉で、それまでのマスから、パーソナルへと移り変わってきたというマーケティングの世界ですが、その最大の背景は、ネットやWEBのセールスが世の中で大きな存在になってきたからに他なりません。
リアル店舗では、特にスーパーマーケットなどにおいては、相変わらずチラシによるマスマーケティングが主流ですし、ポイントカードなどによる囲い込みも利用結果に基づくアプローチであって、ひとりの顧客に対する個別戦略としては充分なものとはいえません。
とはいえ、現状におけるマーケティングオートメーションも、本当の意味ですべての顧客に対して個別に対応しているわけではなく、顧客をいくつかのパターンに類型化するところから始まっています。ただ、それが従来あるような過去の購買行動によるランクわけとかではなく、現時点での顧客の行動による類型化と、対応する施策への顧客の反応によって、さらに次の類型化を行うことで、次第に枝分かれした無数のパターンを作り出すというものなのです。
ひとつのモデル例を挙げましょう。あるグループの顧客に対して、サイトへの来訪をうながすメールを送るとします。そのメールを開封した顧客をA群、開封しなかった顧客をB群とします。A群は、その後、サイトに来訪してログインしたAA群、サイトに来なかったAB群に分かれます。AA群は、最終的に商品を購入したAAA群と、購入しなかったAAB群とに分かれます。この結果に基づいて、メールを開封しないB群に対しては、関心を持たせるようなメールのタイトルに変更する、あるいは、メールではなく、コールセンターからの架電などのアプローチに切り替えます。AB群には、過去の購買履歴などから、より関心の高いジャンルの商品を紹介するメールや、特別な来店クーポンを配信するのです。AAB群には、最終的な購入を後押しする施策、割引クーポンや特別ポイントの付与などを提案します。こうして、メール配信から購入までのサイクルが終わった段階で、顧客はそれぞれの行動によりグループ化され、次のサイクルでは、そのパターンに応じたプロモーションが行われていきます。こういったサイクルを次々に繰り返していきながら、ひとりでも多くの顧客をAAA群へと誘導していくことをめざしていきます。
オートメーションといいながら、それぞれのグループに対してどういった施策が最適かということについては、現状では人間がいくつかのパターンを作り上げていくことになります。しかし、この施策のバリエーションや成功体験を積み上げていくことで、より精度の高い顧客戦略が可能になるということなのです。
施策の立案やグループ化する要素を決定する段階において、顧客の反応だけでなく、購買履歴や年代、ライフスタイルや嗜好などの要素を加味することで、さらに複雑なプロモーションも可能になりますが、そうなってくると、もはや、人間の思考だけではパターンを作り出すことも限界になってきます。
そこで、昨今、この分野において、人間に代わって様々なパターンや施策を立案するための機能として注目されているのがAI(人工知能)、特にその中でも、パターン学習による認識を中核技術とするディープラーニング(深層学習)です。
AIというと、コンピュータが人間に代わって複雑な思考を巡らすようなイメージがあります。しかし、無から何かを生み出す能力は、やはり人間の専売特許です。コンピュータが実現できるディープラーニングとは、数限りない実例とそれによる結果を果てしなく蓄積し、その中からパターンを導き出す法則を学習し、これから発生する事象に対して最適な結果を予測するというものです。
これにより、顧客のどういった反応に対しても、最適なプロモーション施策を実施できるはずなのですが、チェスや囲碁のような、ルールが明確になっているものですら、世界最速のコンピュータといえど、人間相手に苦戦する状況です。読むに読めない買い物の心理を、完璧に紐解くまでには、もう少し時間がかかりそうです。
ここ数年、One to One、あるいは、個人対応型という言葉で、それまでのマスから、パーソナルへと移り変わってきたというマーケティングの世界ですが、その最大の背景は、ネットやWEBのセールスが世の中で大きな存在になってきたからに他なりません。
リアル店舗では、特にスーパーマーケットなどにおいては、相変わらずチラシによるマスマーケティングが主流ですし、ポイントカードなどによる囲い込みも利用結果に基づくアプローチであって、ひとりの顧客に対する個別戦略としては充分なものとはいえません。
とはいえ、現状におけるマーケティングオートメーションも、本当の意味ですべての顧客に対して個別に対応しているわけではなく、顧客をいくつかのパターンに類型化するところから始まっています。ただ、それが従来あるような過去の購買行動によるランクわけとかではなく、現時点での顧客の行動による類型化と、対応する施策への顧客の反応によって、さらに次の類型化を行うことで、次第に枝分かれした無数のパターンを作り出すというものなのです。
ひとつのモデル例を挙げましょう。あるグループの顧客に対して、サイトへの来訪をうながすメールを送るとします。そのメールを開封した顧客をA群、開封しなかった顧客をB群とします。A群は、その後、サイトに来訪してログインしたAA群、サイトに来なかったAB群に分かれます。AA群は、最終的に商品を購入したAAA群と、購入しなかったAAB群とに分かれます。この結果に基づいて、メールを開封しないB群に対しては、関心を持たせるようなメールのタイトルに変更する、あるいは、メールではなく、コールセンターからの架電などのアプローチに切り替えます。AB群には、過去の購買履歴などから、より関心の高いジャンルの商品を紹介するメールや、特別な来店クーポンを配信するのです。AAB群には、最終的な購入を後押しする施策、割引クーポンや特別ポイントの付与などを提案します。こうして、メール配信から購入までのサイクルが終わった段階で、顧客はそれぞれの行動によりグループ化され、次のサイクルでは、そのパターンに応じたプロモーションが行われていきます。こういったサイクルを次々に繰り返していきながら、ひとりでも多くの顧客をAAA群へと誘導していくことをめざしていきます。
オートメーションといいながら、それぞれのグループに対してどういった施策が最適かということについては、現状では人間がいくつかのパターンを作り上げていくことになります。しかし、この施策のバリエーションや成功体験を積み上げていくことで、より精度の高い顧客戦略が可能になるということなのです。
施策の立案やグループ化する要素を決定する段階において、顧客の反応だけでなく、購買履歴や年代、ライフスタイルや嗜好などの要素を加味することで、さらに複雑なプロモーションも可能になりますが、そうなってくると、もはや、人間の思考だけではパターンを作り出すことも限界になってきます。
そこで、昨今、この分野において、人間に代わって様々なパターンや施策を立案するための機能として注目されているのがAI(人工知能)、特にその中でも、パターン学習による認識を中核技術とするディープラーニング(深層学習)です。
AIというと、コンピュータが人間に代わって複雑な思考を巡らすようなイメージがあります。しかし、無から何かを生み出す能力は、やはり人間の専売特許です。コンピュータが実現できるディープラーニングとは、数限りない実例とそれによる結果を果てしなく蓄積し、その中からパターンを導き出す法則を学習し、これから発生する事象に対して最適な結果を予測するというものです。
これにより、顧客のどういった反応に対しても、最適なプロモーション施策を実施できるはずなのですが、チェスや囲碁のような、ルールが明確になっているものですら、世界最速のコンピュータといえど、人間相手に苦戦する状況です。読むに読めない買い物の心理を、完璧に紐解くまでには、もう少し時間がかかりそうです。
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