2017年6月1日木曜日

共同基盤は認証基盤へ(1)[連載第21回]

 生協のインターネット事業-新たな挑戦の時 
コープソリューション2017年5月1日号掲載

  この連載を始めたのが一昨年の9月、その当時は、生協におけるインターネットの共同基盤のあり方が不透明で、日生協をはじめ、基盤を運営する生協のほとんどが既存基盤を延命して継続利用する方針を固めた時期でもありました。
  その要因は、インターネットの事業の方向性がまだまだ安定せず、唯一、新しい基盤に挑戦したコープネットが、その道半ばという頃だったことも大きく影響していました。
  昨年、コープネットが新基盤を稼働させるに至り、ここに来て各地のインターネット基盤が新しいステージへと動き始めた感があります。
  ひとつには、一昨年に延命処置をした現状基盤の耐用年数が、引き延ばしたとしても来年度いっぱいが限度となってきたことがあります。
  もうひとつの理由は、これまで数年おきに基盤の更新という大きなイベントにかなりの労力をとられてきた生協が、しばらくとは言いながら、基盤への注力がやや軽減できたことから、本来、課題とすべき利用者目線での様々な取り組みにも傾注する時間ができたことで、それぞれの独自性がより際立ってきたことにあります。
  従来からの宅配注文機能をさらに深化させたものや、ネットショップ型の販売チャネル、メールベースのマーケティングオートメーション施策への取り組みなど、ある程度のシステム対応力を持った生協が様々に着手しはじめています。
  宅配注文の分野では、作業省力化と低コストをうたった新しいWebカタログが、利用人数比で過半数を超えるシェアを確保したり、生協の宅配利用額のプリペイドカードやクレジットカードでの決済システムも増えつつあります。また、生協加入をインターネット上で完結させる仕組みなど、取り組みの方向性も多岐にわたっています。
  ある意味、チャレンジ課題としてスタートしたこのような施策が、ある程度淘汰されて、いよいよ本格的な展開段階に入ってきたことで、インターネット基盤への要求仕様が少しずつ明確になり、再構築への後押しとなってきたようです。
  では、どういった機能が、新しいインターネット基盤に求められているのでしょうか。
  それは、ここ1年あまりで、日生協CWSとの認証連携するシステムが増加してきたことからも想像できます。
  まず、認証連携とは何かと云いますと、インターネットのサイトで、生協のサービスを利用する場合、まずは、その生協の組合員であることを確認する手続が必要になります。
  その際、ひとつひとつのシステムごとに組合員コードと認証パスワードを登録するなどという手間なことはできないので、どこかのシステムが代表となって、組合員であることを確認する仕組みを提供し、その結果を、それぞれのシステムに報告することで、利用者はいくつものパスワードを管理する手間が必要なくなるというものです。これを認証連携と云います。
  以前にも述べさせていただきましたが、現状の日生協インターネット共同基盤CWS構想も、元を正せば、全国の生協の組合員の認証を一元的に管理し、宅配注文などのEC機能や、ソーシャルネットワークを使った組合員交流機能は、それぞれの生協が独自に開発するという構想だったものです。
  ただ、CWS基板が成立したのが今から10年近く前ですので、その当時、宅配注文機能などを独自に構築できる力量を持った生協は限られていたこともあって、注文などのサービス機能も具備したオールインパッケージが、共同基盤のスタイルのように思われてしまったのです。
  以来10年。それぞれの生協が力をつけ、注力する分野も、それぞれの事業特性を意識したものとなってくると、ようやく、当初の構想にあった、認証連携に特化した共同基盤、いわゆる認証基盤が希求されている時代へと入ってきたというわけです。
  もちろん、長年、宅配注文の分野で様々なサービスを提供してきたCWS共同基盤の持つ、組合員の注文データを安全かつ確実に生協に送り届けるといった得意分野においては、これからも引き続きサービス提供をしていくべきだとは思います。
  では、認証基盤として何が求められているのかについて、次回詳述しましょう。
(つづく)

0 件のコメント:

コメントを投稿