コープソリューション2018年1月1日号掲載
2018年の到来。景気回復の流れは、生協の業績にも好影響を与えています。こうしたなか迎えた新年は、生協の事業、とりわけ、インターネットという切り口から眺めたときに、どういった未来が垣間見えるのでしょうか。■ スマホがPCを越えた
昨年の傾向を見ると、インターネットやSNS上の出来事が話題として報じられるのはもはや日常になり、既存のメディアも、その情報源の多くをネット上から入手するまでになりました。インターネットの存在が日常生活と、それ程、不可分のものとなったといっても過言ではありません。
スマホの保有率も70%を超え、特に、ガラケーの販売が少なくなったこともあって、60歳代以上のスマホ保有率の増加が顕著です。
こうした背景から、生協とインターネットとの関わりの中で、エポックとなったことは、昨年で、インターネット注文の過半数がスマホ経由となったということです。長らく、これからは「モバイルファースト」、スマホがネット利用の中心になる、といわれ続け、そのことがようやく現実となってきたのです。
早くから、モバイルファーストに対応してきた生協や、そのインターネット注文の仕組みでは、この流れを受けて、一気に昨年対比150%という 成果が現れているところもあります。
この流れは、2018年も、これから先も続きます。立ち遅れているところは、早期の対策が不可欠でしょう。
■ AIスピーカーは優秀な執事か
組合員の暮らしにおいても、2018年は大きな変化の年になります。
まず、昨年から注目を集めているAIスピーカーがあります。AIを人工知能という呼び方で、どこか未来世界の話としてとらえていたひとびとが、一万円札1枚か2枚でおつりがくる小さなスピーカーが、家庭用ロボットのように呼びかけに応えてくれる存在をどう思ったでしょう。
しかも、この製品は、買っておしまいではなく、インターネットの向こう側に控える膨大な知見やそれを有機的に結びつける深層学習機能によって、日々進化していきます。最初は、言葉で応えるだけですが、既存のリモコンの操作を肩代わりしてくれ、パワーコントロールといった家庭向けIOTの浸透に伴って、家庭内の様々な機器や電力をすべてコントロールしてくれる優秀な執事の役割を果たしてくれるようにもなります。
もちろん、通話やメール、メッセージングといった外部や人とのコミュニケーションをも媒介してくれます。それも、キーボードではなく会話によってなのです。
そうなってくると、この優秀な執事を介して、生協をどう利用するのか、生協はどう利用しやすいようなインターフェイスを構築するのか、この対応が急務です。
■ マーケティングもAI
インターネットマーケティングの世界では、One to One、個人別の対応はもはや当たり前になりつつありますが、生協では、カタログ配布やOCR注文書のオンデマンド印刷など、従来のメディアにおいての個人別対応にも注力しています。ただ、こうした従来手法はどうしても、フレキシブルさやコストの点ではネット上のそれには及ばないものです。様々な試行も含めて、ネットでのオンデマンド対応が今後進化していくでしょう。
ここでも、次なるキーワードがAIです。これまでの過去の注文・購買履歴を元にした結果型オンデマンドから、次の行動を予測したうえでの商品提案や売場構築という予測型オンデマンドが次なるトレンドでしょう。
ただ、予測といっても、徒手空拳で予測できるものではありません。その中核となる知見、経験はやはりこれまでに築き上げられた実績から導かれる部分や人間ならではの発想が必要だといわれています。
■ 生協の知恵を集める場が必要
こうして2018年のトレンドやキーワードを並べてみると、生協のインターネット事業において、それらを具現化するためには、まずはそれぞれの生協の枠を越え、多くの衆知を結集し、組合員の暮らしや新たな関心領域に生協がどのような姿で関わっていけるのかを模索する場、チャレンジングな取り組みを行える場を、力を合わせて作っていかなくてはならない年になりそうな気がします。