2018年4月1日日曜日

スマートホームで暮らしはどう変化するか(2)[連載第31回]


 生協のインターネット事業-新たな挑戦の時 
コープソリューション2018年3月1日号掲載

 スマートホームのキーデバイスとなると思われるスマートスピーカー。取り巻く状況は、日々変化しつつあります。家庭内に数多く散在する赤外線リモコンを、ひとつにまとめそれをスマートスピーカーでコントロールする機能などが登場してきています。周辺機器の充実を背景に、スマートスピーカーやスマートホームの本質を考えてみましょう。

■ リモコン革命

 みなさんのご家庭でも、ちょっと見渡すといくつかのリモコンが目に入るでしょう。テレビ、エアコン、ビデオデッキやLED照明などもリモコンつきが増えています。
 それぞれに用途や操作方法が違うこと、よく行方不明になる、まとめておくと結構行き場所をとることなど、便利さの反面が見えてきています。
 いくつものリモコンの機能をひとつにまとめるインテリジェントリモコンという製品も存在していますが、それなりの価格のため、なかなか普及には至っていません。
 その中で、スマートスピーカーと連動して、家電のリモコンの機能を果たすデバイスが登場しています。Wi-Fi接続のため、スマートスピーカーのない場所に設置しても、コントロールが可能で、スマート家電が普及するまでの間、スマートホームの隠れたキーデバイスになるかもしれません。
 こうして、スマートスピーカーがリモコン機能という手足を持ち始めることで、一気に生活が進化するかに思えますが、少し想像をして見てください。
  朝、寝室で目覚めてからリビングのテーブル前に腰を下ろすまでの様々なスイッチやリモコンの操作。一体どれほどの数があるでしょう。それを、ひとつひとつ声で指示をするなら、現状のほうが明らかに便利です。
  それぞれの作業はスイッチひとつで完結するようにはなっていますが、なかなか一連の操作とはなっていないのが現状です。
  こうした操作が自動的に行われてこそ、スマートといえるのではないでしょうか。

■ 自動化しているのは誰か

  自動化を実現するのは、スマートスピーカーではないのです。実は、このことが、スマートホームやAIなどの本質につながることなのですが、スマートスピーカーも、音声認識のためのマイク、スピーカー、ネットワークと接続するための通信機能を持っただけのデバイスに過ぎません。
  では一体どれが中核なのか、というと、ネットワークの先、クラウドと呼ばれるコンピュータ群の中で作動しているプログラムなのです。
  例えば、アマゾンエコーというスマートスピーカーの背後で動いているプログラムが、アマゾンアレクサというものです。
  アマゾンエコーで何かしようとすると、「アレクサ」と呼びかけるのは、ここから来ています。
  アレクサの中で、スマートスピーカーにさせたい機能を担っているのが、「スキル」と呼ばれるプログラムです。
  「テレビをつける」、「エアコンをつける」といった操作、「チャンネルを1にする」、「温度を21℃にする」というスキルを用意して、寝室で「おはよう!」と云っただけで、一連のスキルを作動させるように設定することが可能なのです。

■ 生協も注文スキル開発を

  こうしたスキルのパターンをいくつも用意することや、もう少し先になるかもしれませんが、スキルそのものを簡単に作成できるスキルなどが登場することで、家庭内でのくらしは、一気に便利さを増します。
  もちろん、こうしたスキルはスマートスピーカーだけではなく、スマホからも利用できるようになるので、外出先からロボット掃除機を起動したり、帰る前にエアコンをつけたりといったことも可能になります。
  また、かならずしも、人間の指示が必要ではなく、スマホのGPSから位置情報をキャッチして、外出を検知したら掃除をはじめる、近くの駅に着いたらエアコンやお風呂のお湯を入れる、玄関の鍵が開いたら室内の電気を点灯するということも可能になります。
  あらかじめスキルを設定しておき、起動するタイミングを別のセンサーが検知した内容をトリガーとすることで、さらに範囲は広がってくるはずです。
  もちろん、生活資材の購入や注文という分野での活用も、極めて早い段階から実用化されてくるものと思います。そのタイミングを逃さないためにも、生協も現状のインターネット注文の段階から、機能のスキル化などでのスマートスピーカー活用に着手する必要があると思います。