不統一なコード体系が事業統合を阻害する(続き) |
生協の情報システムが抱える今日的課題 第4回 |
前回、事業や業務の基本となるコード体系が生協内で不統一である弊害を説明した。では、その原因はなんだろうか。これまでも多くの関係者から話を聞いたが、共通して感じる点は、生協関係者の余りにも世間を知らない、という点だろうか。決してわたしが熟知しているというわけではない。しかし、生協は特別という意識がどこかにあるのだろうか。一般の小売業や通販業界との交流は余りにも少ないのではないか。生協といえども店舗を持っていれば小売業の一角であり、共同購入もある種の通販業あるいは訪問販売業だ。そういった業界には大小さまざまな企業が存在し、その業界ならではの標準も存在する。 ところが、生協関係者には、自分達はどこかそういった業界から超越した存在であるかのような意識があるのかもしれないが、積極的な交流を持っているという話はあまり聞かない。
前回触れたような流通情報の研究プロジェクトや共同仕入団体の会合に参加する機会に恵まれた。そういった場で、生協の関係者と交流を持ちたいが、なかなかそういうチャンスがないとよく言われた。
もちろん、日常的に商談や仕入という場面ではメーカーや卸との交流はあるだろうが、それはあくまで売り手と客という立場であって、対等に交流する場面ではない。そういうつながりの中で、たとえば商品の分類体系について客である生協側から独自のコード体系を使うように云われれば、ベンダーやメーカーはそれに従わざるを得ないだろう。例え、もっと適切な体系が業界内で標準としてコンセンサスを得ようとしている段階であってもだ。
例外がないわけではない、生協において売り手と買い手の立場が逆転する唯一のケースが卸問屋としての日生協からの商品仕入だ。この場合だけは、生協の側が日生協のコード体系や仕入システムに自社のそれを合わせざるを得ないという現実がある。このことで日生協を批判するつもりはないが、そこまで仕組みを押しつけるのであれば、もう一歩進めて、生協内のコード体系や取引システムの統一まで強引に推し進めてもらった方が生協全体のためになる、と思わないこともない。
生協内に限定することなく、流通小売業という範疇で、関係する企業や業界団体とも協力してコード体系や業務システムの標準化、統一化をすすめることが、生協が流通小売業というカテゴリーの中でその存在価値を大きくしていく上でも必要であることは云うまでもない。その方策のひとつとして、業界他団体と協力して標準化のための検討機関、標準化センターのようなものを立ち上げることも必要だろう。
もうひとつ、コード体系や取引システム、業務システムの標準化を円滑に進める原動力となる存在は、やはり情報部門だ。情報部門が常に標準化動向を把握し、現状システムの改変や新規開発においてもそのことを意識しておくことが肝要だろう。事業部門からの分類コード変更の要望に、多大な手間とコストばかりをかけて、渋々引き受けているような川下意識ばかりでは、情報部門は標準化の恩恵を受けることをみずから放棄しているようなものだ。
(コープソリューション 2006年5月号掲載)
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