コープソリューション2017年9月1日号掲載
各地の生協を訪問しインターネットを担当する部局の方といろいろとお話しをする中で、最近、よく相談されることがあります。
生協の宅配は、毎週、注文書(OCR)を発行しているうちの、7、8割以上の方が注文をしてくれる、とてつもなく優良な顧客を擁する事業となっています。
ところが、ことネットでの注文となると、利用率が登録者の半数に届くことが極めてまれで、多くは3割台しかありません。
もちろん、利用者からすれば、ネット注文も注文書注文も併用できますので、生協の利用率としては、これまでの水準を維持できているのですが。
生協のファンは多いのに
生協組合員は、宅配の利便性や安心・安全の商品、そして自分たちが参加して作り上げてきたという意識などを持った、いわゆる生協ファンのかたが多くいらっしゃいます。
特に商品についていえば、多くの生協で組合員が商品開発に関わって作り上げてきたコープ商品などもあり、高い支持を集めているわけです。
確かに注文方法が、併用できるのは便利です。
しかし、電話注文では受電対応のコストがかさみます。
ネットだから扱える期限切れ間近などの限定商品、個人別おすすめなど注文を底上げするような施策が実施できることなどをふまえて、利便性やメリットのあるネット注文への移行をすすめてきたわけです。
現状の水準が維持できているからといって、このままというわけにはいきません。
ツールとしての利便性ばかりを訴えていないか
組合員の方の意見や声を聞いてみると、注文書とネットを併用されている方の多くは、「かんとなく」、「これまでの習慣で」という、どちらかと云えば積極的でない理由を挙げています。
一方で、ネット注文を利用するのは、「注文書提出を忘れたとき」という、注文書回収より締切が遅いネット注文のメリットを活用していることもわかります。
もちろん、「ネット限定商品はネットで」というピンポイントでネット注文のメリットを享受している面もうかがえます。
結局のところ、ネット注文へ移行してもらいたい生協の思惑と、現状を変えずにメリットだけ享受したい組合員のそれとが一致を見ないことが、利用率3割台の原因のように思えます。
ただ、もうひとつ、生協の側が考えなければならない点があります。
それは、ネット注文について、これまで、そのツールとしての利便性ばかりを強調しすぎていなかったかという点です。
たしかに、締切時間は圧倒的に遅くなりますし、それによって、商品が届いてから注文できます。
過去の注文履歴から買い忘れを教えてくれる機能やスマホなどで外出先でも注文できます。
合計金額を即座に表示することでの買いすぎを防止するなど、数え上げればきりはないのです。
それでも、「習慣」「なんとなく」という非能動的障壁を越えることはできていません。
「ストーリー」や「物語」に共感を呼ぶ
そこで、ひとつ思いだしていただきたいのがコープ商品です。
確かに、安心・安全で品質や味、性能など優れた点は限りなくありますが、既存のナショナルブランドから切り替えてもらえるかどうかは未知数だったと思います。それを、現在のような生協ファン、コープ商品ファンといわれる支持者を増やしてきた手法があったはずです。
それが、組合員参加型の商品開発です。自分たちも開発や改善に関わった体験を共有でき、その商品へのシンパシーを高めているわけです。
最近、何かを作り上げるプロセスに参加する意識、あるいはその流れを疑似体験するということが、商品やサービスを認知し、そのファンを獲得する手法「共感型マーケティング」として、大変注目されています。
ネット注文も、でき上がった仕組み、として紹介するだけでなく、そこに組合員が疑似体験できる「ストーリー」や「物語」を提供できるはずです。
いただいた声、それを受け止めた職員の想い、開発や改善が実現するまでの舞台裏も「物語」とすることで共感を呼び、結果的にネット注文のファンを増やすことができるはずです。
そして、もちろん、そうした機能や利便性があることの周知にもつながる効果もあわせて、積極的利用者の割合が増加するのではないかと思います。
各地の生協を訪問しインターネットを担当する部局の方といろいろとお話しをする中で、最近、よく相談されることがあります。
生協の宅配は、毎週、注文書(OCR)を発行しているうちの、7、8割以上の方が注文をしてくれる、とてつもなく優良な顧客を擁する事業となっています。
ところが、ことネットでの注文となると、利用率が登録者の半数に届くことが極めてまれで、多くは3割台しかありません。
もちろん、利用者からすれば、ネット注文も注文書注文も併用できますので、生協の利用率としては、これまでの水準を維持できているのですが。
生協のファンは多いのに
生協組合員は、宅配の利便性や安心・安全の商品、そして自分たちが参加して作り上げてきたという意識などを持った、いわゆる生協ファンのかたが多くいらっしゃいます。
特に商品についていえば、多くの生協で組合員が商品開発に関わって作り上げてきたコープ商品などもあり、高い支持を集めているわけです。
確かに注文方法が、併用できるのは便利です。
しかし、電話注文では受電対応のコストがかさみます。
ネットだから扱える期限切れ間近などの限定商品、個人別おすすめなど注文を底上げするような施策が実施できることなどをふまえて、利便性やメリットのあるネット注文への移行をすすめてきたわけです。
現状の水準が維持できているからといって、このままというわけにはいきません。
ツールとしての利便性ばかりを訴えていないか
組合員の方の意見や声を聞いてみると、注文書とネットを併用されている方の多くは、「かんとなく」、「これまでの習慣で」という、どちらかと云えば積極的でない理由を挙げています。
一方で、ネット注文を利用するのは、「注文書提出を忘れたとき」という、注文書回収より締切が遅いネット注文のメリットを活用していることもわかります。
もちろん、「ネット限定商品はネットで」というピンポイントでネット注文のメリットを享受している面もうかがえます。
結局のところ、ネット注文へ移行してもらいたい生協の思惑と、現状を変えずにメリットだけ享受したい組合員のそれとが一致を見ないことが、利用率3割台の原因のように思えます。
ただ、もうひとつ、生協の側が考えなければならない点があります。
それは、ネット注文について、これまで、そのツールとしての利便性ばかりを強調しすぎていなかったかという点です。
たしかに、締切時間は圧倒的に遅くなりますし、それによって、商品が届いてから注文できます。
過去の注文履歴から買い忘れを教えてくれる機能やスマホなどで外出先でも注文できます。
合計金額を即座に表示することでの買いすぎを防止するなど、数え上げればきりはないのです。
それでも、「習慣」「なんとなく」という非能動的障壁を越えることはできていません。
「ストーリー」や「物語」に共感を呼ぶ
そこで、ひとつ思いだしていただきたいのがコープ商品です。
確かに、安心・安全で品質や味、性能など優れた点は限りなくありますが、既存のナショナルブランドから切り替えてもらえるかどうかは未知数だったと思います。それを、現在のような生協ファン、コープ商品ファンといわれる支持者を増やしてきた手法があったはずです。
それが、組合員参加型の商品開発です。自分たちも開発や改善に関わった体験を共有でき、その商品へのシンパシーを高めているわけです。
最近、何かを作り上げるプロセスに参加する意識、あるいはその流れを疑似体験するということが、商品やサービスを認知し、そのファンを獲得する手法「共感型マーケティング」として、大変注目されています。
ネット注文も、でき上がった仕組み、として紹介するだけでなく、そこに組合員が疑似体験できる「ストーリー」や「物語」を提供できるはずです。
いただいた声、それを受け止めた職員の想い、開発や改善が実現するまでの舞台裏も「物語」とすることで共感を呼び、結果的にネット注文のファンを増やすことができるはずです。
そして、もちろん、そうした機能や利便性があることの周知にもつながる効果もあわせて、積極的利用者の割合が増加するのではないかと思います。