2017年11月1日水曜日

いま一度問う「スマホ対応は大丈夫ですか?」[連載第26回]

 生協のインターネット事業-新たな挑戦の時 
コープソリューション2017年10月1日号掲載

最近の調査では、60歳以上の年代にも、スマホ保有者が増えてきているそうです。
元々、ガラケー利用世代ですから、携帯電話は利用していたので、ガラケーが姿を消す流れから、やむなくスマホへ移りつつあるということなのでしょうか。
しかし、やむなく使い始めても、機能があれば、幾人かは電話以外にも使い始めるものです。
こうした事情や、世代に関係なく、スマホがネット利用の主たるツールとなってきていることは間違いないようです。

■ 生協の注文もスマホからが過半数に

単品利用ではなく、一度に20品近い注文をしなくてはならない生協の宅配注文など、これまでであればパソコン利用者が中心だったのですが、ここへ来て、都市圏を擁する生協だけでなく、ほぼすべての生協において、パソコンとスマホ・タブレットなどモバイル機器の利用比率が逆転し、後者の方が過半数となってきています。
もはや、生協の注文も、スマホやモバイル機器でする時代。
自宅で夜遅くにパソコン向かっていた注文から、出先や空き時間、家庭内でも、リビングで家族団らんのなかや、テレビCMのあいだに、という注文スタイルが増えつつあります。
もっとも、各地の生協もすでに早くからこの動きを察知して、広報サイト、注文サイトのスマホ対応を進めてきています。

■ スマホ対応の落とし穴

ところが、早くから対応してきたところに落とし穴があるかもしれません。
初期のスマホ対応というと、パソコン向けのサイトを、いかに画面の狭いスマホのサイズに合わせるか、というところがポイントでした。パソコンとモバイル機器の両方に対応するだけでも、手間とコストは大きく増加します。
スマホ以前のモバイル機器、ガラケーに対応したサイトをスマホ用に変換するサービスが流行ったのもこの時期でした。
また、「レスポンシブ」という手法で、パソコン用のサイトを、半自動的にスマホの画面形式にあわせて表示する手法は、現在でもかなりのサイトで採用されています。
今さら、ガラケー用を変換したスマホサイトは云うに及ばずですが、「レスポンシブ」型のサイトについても、今日的には、重大な欠陥が表面化してきています。
まず何よりも、「モバイルファースト」ではないということです。パソコン向けに作成された画像や文章を、単に文字や画像の大きさや、並べ方を変えただけでは、スマホの特性を意識して専用で作られたサイトには及びもつきません。
一例を挙げると、パソコン向けサイトでは、リンクやボタンをクリックして次のページへ移動するのがごく普通の操作です。一方で、画面の小さなスマホでは、ページが移り変わると、見ている側は自分がどこにいるのかがわからなくなって混乱してしまいます。
これを避けるために、スマホ専用サイトでは、画面の一部を広げたり、縦に伸ばしたりして、ページ移動を極力減らすような手法を取り入れています。
また、マウスを使うパソコンと、指でのタップを中心とするスマホでは、操作感もまるで違ってきます。情報サイトでは、まだしも、入力の多い注文サイトなどでは致命的とも云えるかもしれません。

■ 利用者の声を拾い続けること


おそらく、自分たちのスマホサイトがどうなっているかについて、直接の当事者以外、特にマネジメント層のみなさんは、よくわからないのや仕方ないでしょう。
その場合、対応しているか否かという端的な確認だけでなく、「モバイルファースト」、スマホに最適化されているのか、使い勝手は満足のいくものなのかを確認することが重要です。
そして、特にお願いしておきたいことは、スマホの使い方は人によって千差万別であるということを理解していただきたい。
ひととおりの使い方で、すべての利用者が満足するものではないのです。
数字や文字を直接入力するのが得意な年代、選択型にしてほしい人たちなど、いろいろな要望にも対応できている必要があります。
まずは、そういった要望やニーズを徹底して聞くことからはじめることが大切です。すべてに対応できるものではありませんが、ひとつでもそういった声を拾い続けることが本当の意味でのスマホ対応だということを理解していただきたいのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿