コープソリューション2019年1月1日号掲載
すでにインターネットがWeb上だけのものではなくなり、AIやIoTといった新しい形でわれわれのごく身近なところにまで進出してきていることはご承知の通りです。
これまで、言葉でしか知ることができなかったAIやIoTが実際に製品やツールとして直接体験することができるようになったのも2018年でした。
今年は、これらの技術やツールがますます生活の中、ビジネスの中に深く関わってきます。
温度センサー程度のものであれば、これまでの製品にも搭載されていました。ただ、センサーの値とインターネット上の様々な情報を組み合わせてより高度な判断をする製品が増えてきています。
また、様々なセンサーによって集められた大量のデータをコンピュータープログラムが分析し判断し適切な結果を人間に提供してくれるようになったのです。
2018年の大きな変化の一つがいわゆるAIスピーカーと呼ばれるものの普及でした。コンピュータと人間とのコミュニケーションをキーボードやマウスといった手を使うツールではなく、声で様々な操作や情報のやり取りができることは極めて画期的なことでした。
AIスピーカーを実現した技術の最たるものは音声認識技術です。
人間が普通に話す言葉をかなりの精度で理解することができるようになっています。
実を言うと今回のこの原稿は音声入力を使って執筆しています。
まだまだ誤変換があったり、キーボードで整形したりしなくてはなりませんが、それでも草稿はほとんど手を使うことなく声だけで作り上げることができています。
これも人間の発声や抑揚そして文章の中に出てくる単語の前後の関連性や妥当性などをコンピュータが分析し、正しい文章として変換しています。
今年はこうした技術が、さらに統合化され複合化されて、より人間の生活の中に浸透してくるのは間違いありません。
暮らしの中では、AIスピーカーによる家電のコントロールは当たり前になってくるでしょう。例えば、「おはよう」という言葉だけで、朝起きてからリビングに座るまでの間に、人間が一連の動作として行う、カーテンを開けたり、暖房を入れたり、明かりをつけたりというルーティーンを自動的に動作させることもできます。
例えば人間が欲しがりそうな商品をAIスピーカー介しておすすめし、代わりに注文することも可能になります。
また、こうした技術はどんどんビジネスの分野にも進出していきます。
まだ人間に代わって手を動かしたりするロボットの存在は製造現場とかある程度定型化されるような作業にしか適用できません。
それ以外に人間が知恵や経験をもとに判断をし、コミュニケーションしている分野については、AIやAIスピーカーなどに取って代わられる時期に来ているのかもしれません。
コールセンター業務の一部が、すでにチャットボットといわれるAIで応答するプログラムによって肩代わりされている事例は数多くあります。
これをさらに拡張して、営業の現場でAIを活用できる可能性は決して低くありません。

店舗の店頭で、人間の代わりにAIを搭載したテレビモニターなどが通りかかるお客さんに対して商品をおすすめするという場面は容易に想像できます。
今までであれば同じ動画を繰り返し流すだけだったかもしれませんが、これからは通り過ぎるお客さんの年齢や性別、場合によっては顔認証などを使ってその人の過去の購買履歴などを参考にしたアプローチができるようになります。
店頭のモニター画面からvTuber(擬人化したキャラクター)が、「○○さん!この商品がお勧めですよ!」とお客さんに呼びかける、そういった光景が見られるのも今年ではないかと思っています。
AIが主役になってくると、これから人間はどう対応していけばいいのか、ということが論じられることが多くなります。2019年は,ますますそういった場面が多くなることでしょう。
そこで、忘れてはいけないことは、どこまで高度になったとしても、AIは人間がプログラムし、大量にデータ化された経験や事実を解析して答えを導き出すことしかできないということです。
新しい物事を発想し、創造していくことは、現時点ではまだまだ人間の専売特許なのです。