2005年7月24日日曜日

第1回 1台の電話機からCTIは始まる

第1回 1台の電話機からCTIは始まる


[抄録]
インターネットショップが花盛りだが通販・カタログショッピングの受注媒体としては電話が主流。単に受注手段としてだけではなく、セールスとしても強力な武器になる。大がかりなコールセンターシステムがイメージされるが、スタート時点では数台の電話と手作りシステムでスモールスタートして、顧客とノウハウの獲得を始めることも一案。



■ 拡大するネットショッピングもシェア3%


 先頃、日本におけるインターネット広告の市場が、昨年ラジオ広告を抜き、2007年には雑誌広告を越え、2009年には現在の3倍にも拡大し、テレビ、新聞に次ぐ広告規模になるという予測が発表されました。もちろん、広告だけでなくショッピングサイトの売り上げも、2004年度で7兆円という規模に達し、さらに成長し続けています。
Ecmarket  しかし、消費者向け商業全体でのシェアでいうと3%程度で、まだまだすべてを席巻するまでには至っていません。マスメディアが喧伝することと実際との乖離があることの表れであり、あまり焦ったりあわてたりすることなく、それでいて今後の成長ぶりも注視しておくというのが正しい対応ではないかと思います。
 では、ネットショッピングが急成長する背景になにがあるのでしょうか。この点については、いろいろなところで論じられていますので詳論は、ここでは触れませんが、特徴的なものにだけ触れておきます。それは、いわゆる「非対面性」ではないかといわれているのです。「非対面性」とは、直接向き合って話し合うことなく、パソコンの画面に入力するだけで買い物ができる点を利点としてとらえた場合の表現なのです。


■ 非対面性を逆手にとるビジネスモデル


 ネットショッピングが「非対面性」を生かしたモデルだとすれば、それはネットショッピングの弱点でもあることになります。つまり、人間との対面性がない、言いかえれば、買い手側の希望や要望に応じたコンサルティングや商品選択をサポートしてくれるような買い方にはネットショッピングは対応できないというわけです。
 もっとも、ITの世界のことですから、すでにネット上でさまざまなコンサルティングや人間的な対話を実現するようなシステムも開発された途上であったりしますので、いずれは、そういったデメリットも払拭されるようにはなると思います。しかし、当面は対面型のショッピングシステム、いわゆる従来からのリアル販売のほうが、コンサルティング型の商品・サービス販売においては、一日の長があることになります。


■ ネットとリアルの間隙をぬって


 とはいいながらも、ネットショッピングの持つ特徴点は、これからの販売ビジネスにおいて無視できないメリットがあります。
 24時間いつでも受け付けてくれる。遠くまで出かけなくても注文できる。というネットならではの特徴点と、在庫や納期がすぐにわかる、といったリアル店舗の強みも持っているからです。
 では、こうした強みを生かしながら、残り97%のシェアのなかで成果を上げることができる販売方法としてどういったものがあるかというと、おそらくは多くのみなさんが、もはや当たり前と感じるであろう電話という手段なのです。当たり前のことではありますが、現時点においては電話こそがリアル店舗の特徴とネットショッピングの利便性をどちらも完全にとはいいませんが、その多くの部分を満足させ、なおかつ、多くの消費者にとってネットショッピングの経験者が1割程度しかいない現状の中で、ほとんどすべての消費者が電話による商品購入や注文を経験しているという事実は、これからも、しばらくの間は電話という通信手段が商品販売において強力な武器になることを意味しているといえるのではないでしょうか。


■ 電話受注からCTI、CRMへ


 電話で注文を受ける、というのは今に始まったことではなく、おそらく電話が登場して以来のビジネスモデルであり、いまさら云うことなどないのかもしれません。しかし、現在では来店して注文を受ける、ご用聞きに回って注文を集める、その代わりの電話、という存在ではなく、さまざまな顧客情報と連動させてビジネスチャンスを拡大するCTI(コンピュータ・テレフォニー・インテグレート:Computer telephony Intergrate)や顧客との長期的な関係性を維持するための取り組みCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント:Customer Relationship Management)などへと進化を遂げているのです。
 素晴らしい技術や製品を持ちながら、販売力を持たないために、事業の拡大が望めない、あるいは他社の下請けに甘んじるしかないという企業はかなりの数に上ると云われています。とは云いながら、新たな販売ルートの開拓や営業活動にさける人的パワーにも限界があります。より効率的な販売ルート確保のためにインターネットに乗り出すのも方法ですが、商品特性によっては、まだまだインターネットでの市場形成が難しいものもあります。
 ネットワークの部分を電話に置きかえて、コンピュータの力を活用した電話による販売網作りや営業活動をすすめていくことも、ここ当面の間の事業戦略としては有効ではないでしょうか。当然、そこで培われたノウハウや顧客は、次のステップでネットショッピングを展開する場合でも有効に引き継いでいくこともできるはずです。



■ どうすればCTIは導入できるのか


 それでは、つぎにどうすればCTIを営業活動に向けて導入できるのかということをお話ししましょう。
 CTIというと、どうしてもテレビなどで宣伝されているコールセンターのように、いくつものブースとたくさんの若い女性テレホンオペレータが座っている姿を想像されるかもしれません。しかも、各ブースには電話機ではなくヘッドセットとパソコンが並んでいて、オペレータたちは、次々とかかっている電話に対応しながら、パソコンの画面で情報を参照したり入力したりしている様子を思い浮かべるかもしれません。
 そういった大規模CTIシステムや大規模コールセンターももちろんありますし、こうしたコールセンターシステムはどうしても規模のメリットが出やすい仕組みでもあります。
 しかし、本来のCTIというのは、そういった大規模なものを意味するのではなく、それもひとつの発展形ですが、ひとりの顧客、1台のの電話機、ひとりのオペレータ、1台のパソコン、これらを有機的につなぎ合わせて、最大の顧客満足を得るための仕組みなのです。
(第2回に続く)


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