2015年2月19日木曜日

団塊の世代とデジタルネイティブ世代

 団塊の世代が前期高齢者となった2015年 

いまさら云うまでもなく、日本の人口分布は尻すぼみの逆三角形を描いています。その最たる理由は、戦後ベビーブーマーである団塊の世代およびその団塊ベビー世代の存在であり、1980年頃に特殊出生数が1.50を下回った極端な少子化にあります。
特に、今年2015年は、団塊の世代がすべて65歳以上、すなわち前期高齢者となるという節目に当たります。
総務省「国勢調査」及び「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)によれば、全人口の25%、4人にひとりが65歳以上の高齢者となります。




















 10年後の2025年には、65歳以上の高齢者の人口に占める割合は、30%となり、その中でも、団塊世代が75歳以上の後期高齢者、いわゆる要介護世代へとさしかかってくるという超高齢化社会が登場してくることになります。

 デジタルネイティブ世代が成人へと成長 

 一方で、こうした団塊世代と相対峙して語られることが多いのが、デジタルネイティブ世代です。
彼らは、1990年以降に生まれた世代で、いわゆる「ゆとり教育」世代でもあるわけですが、物心ついた90年代半ば以降は、いわゆるインターネットが登場し、家庭用ゲーム機、携帯電話が身の回りに最初から存在していた世代です。
こうしたデジタル機器を日常的に使いこなすことはもとより、その恩恵を享受する一方で、デジタル世界ならではの文化や生活習慣、社会との関わりを持ってきた世代とも云えます。
ある定義によれば、
・現実の出会いとネットでの出会いを区別しない
・相手の年齢や所属・肩書にこだわらない
・情報は無料と考える
といった世代的特徴を持っているということですが、いずれにしても、このデジタルネイティブたちが、いよいよ社会へ出てきたことはこれからの社会全体をとらえる上で重要なファクターになってきます。











 世代間のデジタルデバイド(情報格差)は本当に存在するのか 

 現代と、これからの日本を象徴するであろう2つの特徴的な世代、団塊の世代を中核とする高齢者世代と、デジタルネイティブと呼ばれる世代。この両者を明確に定義する物差しとして使われているのがデジタルというキーワードであり、デジタルにそぐわない高齢者世代については、デジタルデバイド(情報格差)における弱者に位置づけられています。
本当にそうなのでしょうか。

 ここで、もう一度、デジタルネイティブと呼ばれる世代について考えてみましょう。たしかに、彼らは生まれながらにしてデジタルでバイスに囲まれ、その利便性を享受してきているかに思えます。しかし、実態として、彼らが使ってきた、あるいは、その恩恵にあずかってきているデジタルデバイスは、携帯電話の通話であったり、ゲームであったり、本当の意味で、生活を営んだり、自分が生きていく上での重要な場面で恩恵を受けてきたという感覚ではないはずです。
実際に、ネット上でもリアルでも出会いを区別しないとはいわれながら、実際は、「ネット上は知り合い、親友はリアル。」と割り切っている高校生たちも多いようです。よくいわれる「リア充」(現実の生活が充実していること)にあこがれるところからも、それはうかがえます。
しかも、彼らは、まだ家庭を営んだり、社会において重要な地位や立場には至っていない世代です。その点からも、相手の年齢や所属・肩書にこだわらないというのは、こだわるべき状況に至っていないというべきでしょう。

 デジタルネイティブは、本来のデジタルには弱い? 

 1990年代から普及し始めたデジタルデバイス、その端緒はPCの登場でしょう。Windowsの登場以前は、やや専門的な機器であったPCが、Windows3.1の登場以降、社会の中で当たり前に使われるツールとして、特にビジネスにおいては不可欠のデバイスとなりました。
しかし、それでもPCには、やや越えがたいハードルのようなものがあって、PCが使えるということ自体が、まだまだスキルだった時代が長く続きました。
ところが、PCが事務処理機器からインターネットの入り口となるにつれて、そんなスキルがなくても、自由に情報に接することができるようになりました。また、通話のためにあった携帯電話でもインターネットやメールができるようになってきました。
デジタルデバイスの側から、どんどん簡単に利用できるように変貌してきたと云えるのかもしれません。

 そして、スマートホンが登場してきました。小さな端末の中にインターネット環境から、通信・通話、PCに匹敵するアプリまでもが搭載されてきています。しかも、PCが仕事や業務という側からスタートしたのに対して、スマホはパーソナルなツールとして、また、楽しみや遊びも含めた側から人びとの手元に行き渡りました。そのために、難しいスキルなどなくても、誰でもが簡単に利用できるようにどんどん進化してきました。
メールのように、いちいち文章を打たなくても、電話のように相手が出てくれなくても、リアルタイムに会話ができるLINEやTwitter、友達だけ、仲間だけでのやりとりができるFaceBookなどのSNSが登場してきました。
そういったツールを使いこなせるデジタルネイティブたち、彼らは、そのままで社会に出て仕事もそれまでの世代以上にこなせるでしょうか?
Excelや業務アプリをちゃんと使っていけるでしょうか?

実のところでいえば、デジタルネイティブたちも、以外とデジタルそのものには弱くなっている、それだけ、デジタルデバイスが使いやすく、かんたんになってきている、あるいは、そうならざるを得なくなっているのかもしれません。
















 予想外にデジタルに強い団塊世代 

 そう考えてみると、団塊の世代もあながち軽んじることはできないかもしれません。
彼らは、中年・熟年以降になってPCやインターネットに出会っています。それでも、仕事ですから、やれメールや社内グループウエア、業務ソフトなどを使わざるを得ない状況に追い込まれ、それを生き抜いてきた強者たちです。ホワイトカラーだけでなく、現業系でもデジタル化は半端なく押し寄せて、それらを使わないと職人技も生きてこなかったはずです。
そういった彼らがリタイアして、時間とある程度の資金を持った現在、決してデジタルデバイドの弱者側に甘んじているとは思えないのです。

 現実に、パソコンなどの市民講座は、まっさきに定員オーバーになる状況が続いているといいますし、家電量販店でも最近の格安スマホ売り場には、中高年がいちばんに殺到しているともいわれています。iPhoneなどのブランド化したスマホに群がる若年層に対して、中古年層は実利を見抜く目を持っているからかもしれません。

こうして考えると、これまでの高齢者はともかく、日本の高度経済成長を支え、かつてのバブルの恩恵も、その後の暗黒の時代も乗り越えてきた団塊の世代にとっては、デジタルデバイスに対応することくらいはそれほどの難度ではないのかもしれません。

 世代論で論じるべきではないデジタルデバイド問題 

 一般に、若い、イコール、デジタルに強い、高齢者、イコール、弱いというステレオタイプ化をしがちですが、すでにデジタルでバイスが登場して四半世紀、おおむねひと世代が経過した現代にあっては、デジタルデバイド(情報格差)は年代で論ずるべきではないと思われます。その一方で、デジタルデバイス側には、不断の使いやすさ、簡単さへのアプリローチが求められており、これを怠ることで、利用者に対する情報格差を招くというよりも、その情報や情報発信者・提供者側が淘汰されるという格差を受けてしまうのではないでしょうか。

2015年2月13日金曜日

コープ九州のスマホアプリが急速拡大中!

 コープ九州事業連合が制作・公開しているポータル型アプリ『COOPぽけっと』が、公開間もないにもかかわらず2千ダウンロードを越えて急速に拡大中です。情報を入手して間もない状況ですので、ダウンロードして使ってみた感触などからレポートしてみたいと思います。


 シンプルでわかりやすい初期設定 


 今回は、Xperia Z3 Compact(Docomo 2014年冬モデル、Android4.4)を使用してテストしてみました。
 GooglePlayストアで「COOPぽけっと」を検索しインストールします。
インストールが完了すると、画像のようなアイコンが登場します。
アプリの開発に関わった経験がある人間からすると、細かいところですが、アプリ名の「COOPぽけっと」の8文字、正確には半角英字4文字と全角文字4文字ですが、文字によっては、7文字でも最後の1文字が半分だけ表示されたりするので、これをきれいに表示させたというのは、結構ご苦労があったのではと思います。


 アプリを起動すると、最初に立ち上げたときだけだろうと思いますが、きれいなwelcome画面が表示されて、それから初期設定へ向かうように作られています。
なお、画面は縦向きのみに特化されているようです。


 初期設定の1画面目では、居住県、生協への加入・未加入を選択するようになっています。
九州7県以外の都道府県という項目もありましたが、今回はテストなので福岡県を選択しました。
ただ、通知という項目はやや不親切かもしれません。生協からのプッシュ通知だろうとは推察できるのですが、生協組合員のリテラシーレベルを考えるともう少し説明があってもと思いました。
この画面で、生協未加入を選択すると、ここで設定は完了となりますが、加入を選択すると、次の組合員情報画面へと進みます。
この画面では、なぜかコープ九州の全部の生協が選べるようになっています。おそらくは、通勤などでの県外からの加入者を意識してかと思いました。また、先ほどの通知と連携していると思われますが、お知らせ通知の受信曜日を選択するようになっています。次のeフレンズ登録との関係もあるのかもしれませんが、このアプリでeフレンズへのログインによる組合員情報の連携までを行っているのかどうかまではわかりませんでした。


 便利機能に特化したポータル型アプリ 


 初期設定を完了すると、いよいよアプリのメインメニューが表示されます。実際には、1画面ではお知らせあたりまでしか表示されませんが、スクロールすると、この画像のようにすべてが表示されるようになっています。
メニューは、上段にeフレンズ会員用のメニュー、中段は未加入者やeフレンズ未登録者向け、下段にお知らせと日本生協連が提携して商品情報などを発信しているクックパッド(レシピ)、YouTube(商品動画)、@COSME(コープ化粧品)の各サイトへのリンクがあります。
メインメニューから先は、基本的にそれぞれのWebサイトへのリンクとなっており、アプリ内に機能を設けているものではありませんが、このメニュー上に利用者ごとの生協との関わりに応じて行き先を選択出来るという点において、使い勝手のよいポータル型アプリとなっています。






 今日のおすすめレシピを紹介 

 基本的にWebサイトへのリンクと書きましたが、今日のレシピについては、アプリ内で自動的に選択してくれる機能のようで、メインメニューをタップするとひとつのメニューを紹介してくれます。ここから先は、Webサイトで、Yahoo!JAPANのレシピ検索にレシピ名を引き継いで各種レシピサイトからレシピを列挙するようになっています。




利用者が、自分でレシピを選ぶのではなく、ランダムにおすすめする機能としては、コープきんきのeフレンズぱくぱく献立くんサイトの献立ルーレット(PC版)や、ダンスdeレシピ、ぱくぱくおみくじ(いずれもスマホ版)などと同様で、今日の献立に困ったときにおすすめしてくれる便利な機能となっています。



 今後のバージョンアップにも期待 


 メインメニューとは別に、フッターにサブメニューが用意されていて、アプリの紹介、設定の変更やお知らせ、LINEやメールでのおすすめ機能などが用意されています。

 全体として、様々な機能を盛り込みながら、注文などの、いわゆる重たい部分はうまく既存機能にリンクするなどで軽量化を図っているところなど工夫の跡がうかがえるアプリとなっています。
 まだ、お知らせなどが掲載されていないので、どのような運用になるか、プッシュ通知部分なども表側からは計り知れないところもありますので、機会があれば、そのあたりについてもうかがえればと思っています。
 また、事業連合ならではのことかもしれませんが、会員生協ごとのお知らせやリンク掲載などの要望もあるようで、こういった部分も含めてさらなるバージョンアップにも期待したいところです。

2015年2月9日月曜日

パソコンでAndroidアプリが稼働する『BlueStacks』を試してみた

 そもそも、パソコン上でAndroidアプリを稼働させるというのは、スマホアプリ開発においてはあまり役には立たないものです。アプリ開発で必要なのは、スマートフォンの機種ごとの特性をシュミレートし、スマホアプリが正しく動作するかということを検証できるプラットフォームであり、パソコン上で動くことは、デザイン確認の割と初期段階や、基本的な動作確認、マニュアル作成のためのキャプチャー採取といったことを使い慣れたパソコン上で行えるというくらいの意味しかありません。

 ではなぜ、パソコンでAndroidアプリが稼働するソフトを使ってみようと思ったかというと、最近の「モバイルファースト」の流れに影響されたことに他なりません。

モバイルファーストで、スマホでしか使えないアプリが増加

 これまでは、パソコンのソフトやWebブラウザを使って表示するコンテンツが主流でしたが、最近は、スマホの利用者が急増してきたことを背景にスマホサイトやスマホアプリが台頭してきていることは、ご存じの通りです。

 こうした流れの多くは、最初にパソコン版ありきで、パソコン版を次の段階でスマホ版のWebサイトやスマホアプリに転用したものがほとんどでした。ところが、ここへ来て、「モバイルファースト」という考え方の転換が起こってきており、最初からモバイル版のサイトのみを制作したり、スマホアプリだけでWeb版を作らないという流れが増えてきています。

 特にアプリの世界では、スマホを前提とした課金モデルなどを運用する場合に、わざわざパソコン向けのコンテンツやシステムを構築することは得策ではありません。あらゆるリソースをスマホに集中させることもできます。

それでも、画面の大きなパソコンで見たい情報もある

 とはいいながら、目の前に大画面のパソコンがある環境で、わざわざスマホを取り出して小さな画面を見るのもどうか、という向きもあることから、何か方法はないかと考えました。

 最初に書いたように、スマホアプリの検証ツールには、USB接続などでスマホの画面をパソコンのモニターに表示して、実際に操作もパソコンのマウスやキーボードから行えるというものもあります。ただ、接続ケーブルや専用の機器が必要だったりもします。

 実際、わたしの直接の動機は、ニュースキュレーションアプリの『SmartNews』をパソコンの大画面で見たいという単純なものだったのですが、この期待に応えてくれるツールとして、今回は、パソコンでAndroidアプリが稼働する『BlueStacks』というソフトを試してみました。

実際にインストールしてみると

 『BlueStacks』をインストールするのは、ごく普通の操作で、特別に気をつけるところもありません。ただ、インストールすると、AndroidOSをシュミレートするソフトですので、普通にAndroidスマホを最初に立ち上げたときのようにGoogleのアカウントが必要になることくらいでしょうか。


 また、GooglePlayストアのアプリをインストールするためには、同じアカウントで、アプリの状況を連携するための準備などにやや手間がかかるといえばかかります。

 インストールした『BlueStacks』を立ち上げると、以下のような画面になります。これが、いわゆるスマホの初期画面(ホーム画面)になります。ここに、GooglePlayストアからアプリをダウンロードして、『BlueStacks』にインストールすることになります。このあたりは、Androidスマホを使ったことにある人には特に説明するほどのものではありません。

 使ってみて気になるところとしては、スマホ用の画面がそのままパソコンのモニターに表示されますので、文字はとてつもなく大きくなります。ただ、スマホ版でパソコン用のページを表示するニュースサイトなどもあって、これまでスマホで見ていて文字が小さすぎるケースが多々ありましたが、そのあたりは解消されます。

 ただ、画面モードが今のところ全画面モードしか発見できていませんので、パソコンの他のソフトやブラウザとウィンドウを並べて同時に閲覧するということはできません。

 パソコンにインストールしておいても問題のないツールではないかというのが現時点での感想です。

2015年2月1日日曜日

最新のスマホ利用動向と格安スマホの拡大状況-MMD2014年10月定点観測より-

 MMD研究所が、恒例のスマホ購買動向定点観測2014年10月版を発表しました。
今回は、最近話題になっている格安スマホの利用動向についても触れられています。
(1)スマホ所有率の推移(2012年~2014年)

2014年10月時点でのスマホ所有率は、59.0%に達しており、2013年10月に50.9%と、ようやく50%を越えてから1年で8.1%の増加となりました。
この1年間での急激と言っていい伸張は、久しぶりとなる2014年10月の新型iPhone6やiPhone6plusの登場が大きな要因となっている可能性があります。また、もう一つのトレンドとして、格安スマホの拡大、SIMフリー端末へのSIM提供など、これまでの3キャリア独占に、ひとつの風穴があいた結果ではないかと推測されます。


















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(2)格安スマホの認知率

スマホ保有率の急進の一因と考えられる格安スマホについては、テレビCMなどの効果もあってか、75%もの認知率となっており、現状のスマホの料金が高額であることなどを背景に、関心は高まっていることを示しています。
ただ、この関心の高まりが格安スマホの利用を一気に引き上げているかどうかについては、次項目をご覧いただきたい。
















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(3)格安スマホの利用率とキャリア内訳

認知率は75%と高いものの、格安スマホの利用率は、現状では1.6%と高いというレベルには至っていません。
理由としては、既存キャリアの契約形態が2年間の「しばり」をつけていることがあります。このため、今後、2年間の契約や端末費用の支払いが終了した時点で、格安スマホへの移行が進む可能性は否定できません。
格安スマホの利用者における回線事業者の比較では、先行したIIJが、月額900円の価格でシェアトップとなっているほか、CMなどで認知度のあるOCNやイオンが販売するBIGLOBEがそれを追う展開となっています。また、後発ながら、auのSIMロック端末にも対応できるケイオプティコムのmineoが追随しており、CM投入などもあって、今後シェアを伸ばしそうな勢いです。
格安スマホは、回線事業者の構成だけでなく、販売する家電大手や量販店との提携も影響を受けることから、今後の展開は予測が難しい一方、市場全体としては、まだまだ拡大が見込まれます。













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