2015年12月1日火曜日

「コンソーシアム」型事業モデルとネット活用[連載第3回]

 生協のインターネット事業-新たな挑戦の時- 
コープソリューション2015年11月1日号掲載

日本の最西端、晴れた日には山の上から台湾が望めるという国境の島、与那国島。この島を今年9月28日に襲った台風21号は、瞬間最大風速81.1メートルというとてつもない暴風によって、大きな爪痕を残していった。

意外に知られていないことだが、この日本最西端の島でもコープおきなわの共同購入が行われており、フェリーによって運ばれるコンテナに収められた共同購入の商品が、この島の生活を支える重要なライフラインのひとつになっている。

筆者も、かつてこの島を訪れ、コンテナから取り出されたシッパーや折れコンを一斉に港に集まってきた組合員が分け合うという光景を目の当たりにし、泊まった民宿ではコープのティシュが当たり前に置かれ、朝食にはこれもコープの味付けのりが添えられていた。民宿の主人によると、共同購入が始まって、それまで高かった島の物価は沖縄本島並とは行かないまでも、かなり下がったという。

今回の台風堝においても、コープおきなわは直ちに救援募金をはじめるなど離島の組合員の生活復旧を支援している。

災害時という特殊な状況下でなくとも、離島や僻地という住環境では、都市部では当たり前の買い物ひとつをとっても思うように行かないのが実情だ。

もっとも、都市部であっても、郊外型の大型店やコンビニの影響で町中の個人商店やローカルスーパーが姿を消し、車や移動手段を持たない高齢者が買い物難民となっている。

僻地型であれ、高齢者型であれ、生協の共同購入・個人宅配は、買い物難民への対応策として高いポテンシャルを持っている。ところが、なぜか、今ひとつ評価されていないきらいがある。

そのひとつの検証材料となるかもしれない事例がある。地方創成の事業のひとつであり、総務省が掲げるICT推進のモデル事業がある。奈良県葛城市と民間事業者がコンソーシアムを作って、市内の高齢者のヘルスケア支援と買い物支援を行うというものだ。凸版印刷が民間側の中核企業となって、参加者にタブレット端末を貸与している。コンテンツとしては、イオンがネットスーパー機能を提供し、WAONカードにシールを貼っただけのものだが、専用のICカードをタブレットにかざすことで買い物の決済やヘルスケアを担当する医療機関、社会福祉団体のサービスとも連係している。また、地元ボランティアの手厚いサポートも成功の一因といわれている。

こうした国家戦略である地方創成の施策に対して、生協が関わっている事例というのがあまりに少ないといわれている。この葛城市のモデルでも、なぜここに生協が加わっていないのかと不思議になるほどだ。事実、総務省の担当者からは、生協に関わってもらいたかったという声も聞かれている。

ではなぜ、こうした官民一体型事業モデルに生協が関われないのか、それは、行政の規模にも問題がある。地方創成で様々なプロジェクトを推進する主体は市区町村という末端行政機関になる。ところが、生協が常日頃対応しているのは中間に位置する都府県だ。生協の事業モデルは、少なくとも都府県、事業連合であればさらにリージョナルなエリアを対象とする。一方で、葛城市の人口は3万人強。生協の事業規模からすれば、共同購入の配送センターひとつ分の活動エリアにも満たない規模かもしれない。

いかにモデル事業とはいえ、巨大なシステム事業である共同購入・個人宅配を、一部のセンターや地域に向けてだけカスタマイズするというのは、なかなかハードルが高いというのが生協側の言い分だろう。

買い物難民対策とヘルスケア、この2つは地方創成のみならず今後の社会システムにおける重要なキーワードになる。生協の様々な事業は、そのニーズに充分に応えられるだけのポテンシャルを有しているはずだ。

たしかに、これまでは規模によるメリットを強調してきた生協ではあるが、一方で個を志向した取り組みや政策も数多く着手されてきている。要は、それらを具体化するアイデアがどこにあるかではないか。

小さな一地方都市が取り組んだ事例に、全国からの視察がひきも切らず、同様の事業が数多く着手されている葛城モデルに、そのヒントがあるかもしれない。

前回も紹介したとおり、使い勝手のいいインターネットのインフラを提供し、丁寧にサポートしていくことで、高齢者に活用してもらうことは決して不可能なことではない。同様に社会的弱者、地理的不利を抱える僻地住民に、より高レベルの各種サービスやコンテンツを提供していくことも可能ではないだろうか。

その場面において、生協だけでなく、行政や、仮に同業他社であっても、おぎないあえるサービス提供者と共同して、コンソーシアム型の事業モデルを志向することもこれからの生協を考える上でのキーワードのひとつとなるだろう。



2015年11月1日日曜日

スマホ・タブレットがもたらす高齢者のネット利用[連載第2回]

 生協のインターネット事業-新たな挑戦の時- 
コープソリューション2015年10月1日号掲載

とどまるところを知らないといわれたスマホ(スマートフォン)の普及も、そろそろ頭打ちにはなってきているようだ。しかし、それはピークを過ぎたというわけではない。2014年度末での世帯普及率が65%に達し、伸び率は横ばいで、もはや飽和状態になっているのかもしれない。

このことがもたらしたのが高齢者層のネット利用の増加だ。60歳代で75%、70歳代も半数に達している。しかも、過去4年間の伸びは両年代とも10%とあらゆる世代を凌駕している。

この状況を支えているのが、いわゆる都市部以外でのスマホ普及だ。実名を挙げて恐縮だが、佐賀県のスマホ普及の拡大は年率10%を超えている。そのほか、地方、過疎、高齢化の代名詞的な諸県が拡大率上位に連なっている。

最近、生協におけるネット注文の利用状況も変化が見られるという。これまで、若年層への若干の偏りが見られた年代別利用も、OCRなど非ネット利用との差違はほとんどなくなってきている。

一方で、スマホからの注文の比率は、各地で40%を超えつつあり、いわゆる都市部以外の生協のほうがやや高い傾向があるという。いずれ遠くない時期にパソコンと並ぶことが予想されている。
※残念ながら、スマホと利用者年代との相関や経年変化については、まだ充分な情報を得ていない。

こうした状況をすでに経験しているネット業界では、「モバイルシフト」や「モバイルファースト」といった言葉で、パソコンに優先してスマホに対応する必要性が叫ばれてきた。

しかし、すべての企業が対応できているわけではなく、最近でも、『探検ドリランド』や釣りゲームで一世を風靡したグリーが、業績悪化で経営危機に瀕していると報じられたが、その一因にモバイル対応の遅れが指摘されている。

生協のネット注文もこうしたモバイルへの流れに充分対応できていない状況が見られている。

日生協が提供するCWS共同基盤でも、一番肝心のログイン画面は、キー操作型の携帯サイトのままで、今般ようやくスマホのタッチ操作優先に対応する。大手生協のサイトでも、携帯サイトをスマホ向けに変換するツールでしのいでいるケースも見受けられる。

やや技術寄りの話で恐縮だが、パソコンとスマホの両方に対応できるサイトを作る「レスポンシブWebデザイン」という技法がもてはやされている。

パソコンサイトを作ったり変更したりしたら、スマホでも見やすいサイトが自動的に生成されるというものだ。

パソコンサイトの画像や文字情報が、スマホでも見やすいレイアウトに変換されたり、マウスクリックと画面タッチの違いを吸収してくれたりしている。

たしかに、作る側の手間も削減され、使う側にもメリットはある。だが、これで、ほんとうに「モバイルファースト」(スマホを優先したサイト作り)といえるのだろうか。

どこまでいっても、パソコンの大きな画面やマウス操作ありきで、スマホに向けて変換できるところだけを対応している。最初から、スマホを利用することを前提としたサイトになっていないなかで、初めて手にしたスマホ、使い方のわからないネット注文に接する高齢者層をどこまで取り込めるかには疑問を感じざるを得ない。

高齢者のネット注文を考える上で、もうひとつ意識しておかなくてはならないのがスマホの画面の小ささだ。たしかに6インチと大型化はしているが、それでも、まだ充分な視認性があるとは云えない。

最近、あるところで、低価格のタブレット端末の販売をお手伝いしているが、利用者の中での60歳代以上の比率がかなり高い。声を聞いてみるとスマホの画面や文字の小ささからの避難という色合いがある。

ただ、タブレットの大画面をしても、それに見合った情報提供の仕方、サイトの作り方、注文ツールが整備されていなければ利用には結びつかない。また、画面の大きさによる視認性の改善は進んだとしても、タッチ操作には、まだまだハードルがあることもわかってきた。

スマホやタブレットに適応し、高齢者による注文操作のバリアフリーまでを考慮するのが生協における「モバイルファースト」なサイトのあり方なのではないだろうか。


2015年10月1日木曜日

延命を図りつつ独自のチャレンジも[連載第1回]

 生協のインターネット事業-新たな挑戦の時- 
コープソリューション2015年9月1日号掲載

2015年は、生協のインターネット事業においてひとつの節目の年となりつつある。

2008年から稼働したCWS(インターネット全国共同基盤)が第三世代へと切り替わるにあたって、CWSの最大の利用者であったコープネットが独自の基盤を構築することになったからだ。これで、パルシステム、コープこうべ、コープきんき、コープさっぽろと合わせ、上位から五つの生協・事業連合が独自の仕組みでインターネット事業を推進していくことになった。

2001年から始まった日生協が主導するインターネット共同基盤は、それぞれの生協が独自にインターネットの事業システムを運営することがまだまだ難しい時代であったことから、比較的簡易なシステム連携と手厚いサポートもあって、生協陣営におけるインターネット注文を大きく前進させる原動力となった。その功績は大きい。eフレンズというサービス名称もひとつのブランドとなって現在に引き継がれている。

その一方で、本格的Web対応システムとして登場したCWSでは、その導入過程で、これまでのような単純な注文機能だけではなく、組合員コミュニティやプロモーションへの取り組みを強化するなど、様々な要望が寄せられた。生協ごとのインターネット事業への取り組みスタンスの多様化が背景にはあったが、それにより、システムの機能としては肥大化と複雑化を招くことになり、稼働直後にいくつかの障害を引き起こすこととなった。

現在では改善され、安定稼働しているものの、運用には専門の体制と細心の注意とが求められる状況だ。また、共同基盤という性格上、それぞれの組織の意識や取り組みの変化には充分に対応できているかには異論も多い。

生協ごとのインターネット事業への対応が多様化する中で、EC(電子商取引)の進化は、各地の生協や事業連合でもある程度の規模や対応力があれば独自に自由なシステム構築が可能となってきており、また、これまで中心だった生協の宅配注文のWeb対応以外にも、ギフトやネット独自商品を扱うECショップなども盛んになってきている。

これは、CWSの導入当時から論議されていたことだが、生協の宅配事業がマス対応(大人数の組合員への同質の対応)であるのに対し、Webでは、個人を対象としたパーソナルなマーケティング(画面上に組合員の属性や購買履歴に応じた商品を個別におすすめする取り組み)が可能になる。こういった新しい分野への対応において、生協ごとにかなりの温度差があることなども、共同基盤の求心力に陰りが見え始めた一因ではないか。

ただ、CWS利用生協の中には、独自の取り組みは進めつつも、宅配のインターネット注文の基本的ツールとしての共同基盤はこれからも必要という声も少なくはない。それは、独自システム構築や維持への負担、長く運用されてきた共同基盤の安定性やコスト低減などへの取り組みを評価するからだ。

独自のシステムを運用している生協にも、ある特徴的な動きがある。それは、今秋から来春に欠けて、システムの更新時期を迎えた複数の生協が、大規模なシステム改修を回避し、機器の耐用年数と増加した利用者への性能面での対応という、いわゆる「延命」策をとったのだ。最初に第三世代と形容したCWSも、インフラ面での改修がほとんどで「延命」に近い。

こうした動きの中で、唯一、大規模なシステム改修を行っているのがコープネットだ。というよりも、生協陣営で最大規模であり、インターネット事業分野でも最大であるコープネットの新システムの動向が、他の生協をして当面の延命による模様眺めの状況を作り出したのかもしれない。

中核となる宅配のインターネット注文システムは当面延命を図りつつ、独自の取り組みに関してはそれぞれに挑戦をすすめていく。これが、インターネット事業の現状といえるかもしれない。

次回以降、どういった取り組みが始まっているのかを事例を含めて報告していきたい。

2015年4月8日水曜日

2020年Olympic Yearの春節、あなたはどう対応しますか?

 今年の春節は大騒ぎ 

  最近の円安と中国からの観光ビザの発給要件の緩和によって、今年の春節時期の国内観光地は、どこも大量の中国からの観光客であふれかえったことは、報道などでもご存知のことでしょう。首都圏や、関西圏の繁華街は、いずこもお祭り騒ぎである意味あふれかえっていました。観光事業に直接関わっていない一般の人たちについては、この春節騒動に眉をひそめたり、中国人観光客の傍若無人ぶりに批判的な声も聞こえてきたりはしていました。

 ただ、観光ビジネスが国内の景気にプラス要因となる程度は、決して低いものではありませんし、鉱物から農産物、果ては労働資源すら多くない我が国において、残された数少ない資源が観光資源である限りは、今後、観光立国を政策として進めていかなくてはならないことは火を見るより明らかなことです。


 ましてや、もう一昨年になりますが、2020年の東京オリンピック招致に成功した当時、滝川クリステルさんの「O・MO・TE・NA・SHI」のフレーズを、これこそが日本人のおもてなしの精神の神髄とまで賞賛したわけですから、自分たちの多少の不便や不自由を堪え忍んでも、遠来の客を歓待することこそが、おもてなしのこころというものだと再認識しなくてはならないでしょう。


 多国籍・多言語対応の必要性 

 もっとも、訪日外国人の増加は、春節の時期の中国からの来訪者に限ったことではありません。確かに、中国本土からの来訪者は、一時期の低迷期をのぞいて、右肩上がりの増加し続けています。大阪の中心街、心斎橋界隈では、片側4車線の道路の2車線を観光バスの駐車でふさがれるという光景も年中行事であり、それほど珍しくありません。また、来訪する相手国も、中国本土が圧倒的に多いとはいいながら、沖縄や九州方面には台湾からの観光客が多いという傾向も出ています。もちろん、その他のアジア、オセアニア諸国、欧米からの来訪客も増加傾向にあります。

 先日の春節時期や、やはり、日本での買い物が来日の主目的である中国本土からの来訪客への対応のため、家電量販店や百貨店、ドラッグストアなどでは中国語に対応できる社員やスタッフを増員して対応したようですが、今後、観光地や観光施設、飲食店や宿泊施設などでは、それ以外の多国籍・多言語への対応も不可欠となってくることは間違いありません。

 我が社の事業分野は、観光や、来日外国人にはあまり関係がない、とおっしゃる向きも多いと思います。しかし、現在でこそ、このような状況ですので、2020年のOlympic Yearに向けて、観光地以外の場所へも、来日外国人は数多くやってくることが予想されますし、それに比例して、長期滞在や定住する外国人も増加することは容易に想像できます。店舗事業や、何らかのコンシュマー向けビジネスを展開されているのであれば、今後、多国籍・他言語にどのように対応するかということは、ひとつの事業課題として意識しておくべきテーマだと思います。

 当然、国を挙げての外国語教育などもテーマになってくると思われますが、長年、外国語を苦手としてきた日本人の気質からして、それほど時間がない中での対応としては、教育だけでは対処しきれないと思います。そこで登場するのがITです。すでに、スマートホンなどを介して、観光などの分野に対応したリアルタイムでの多言語翻訳昨日などは実用段階に近づきつつあります。今後、このブログや、サイト上でも、多国籍・多言語対応ソリューションについて取り上げていきたいと思っています。

 「QR Transtrator」(QRトランスレータ) 

 今回、そういったソリューションのひとつとしてご紹介するのが、「QR Transtrator」(QRトランスレータ)というQRコードをベースとした多言語対応案内ソリューションです。

 「QR Transtrator」(QRトランスレータ)は、すでに関西国際空港などでも導入されているものです。関西国際空港では、これまで、英語、中国語(簡体中文)、韓国語に対応した案内板はありましたが、それ以外の言語には対応できていませんでした。「QR Transtrator」(QRトランスレータ)は、日本で生まれたQRコードを利用し、スマートフォンでQRコードを読み取ると、そのスマートフォンが設定されている言語を識別して、対応するWebサイト上の表示言語を、スマートフォンと同じ言語で表示するという仕組みになっています。


 原文は、日本語で入力するだけで大丈夫で、他の言語へは機械翻訳、もしくは、人力翻訳にて対応しています。

 QRコードの横に、対応する言語の国旗をシンボルとして表示したものを、案内する場所や印刷物などに掲示・掲載することで、そのQRコードをスマートフォンで読み取ると、画像と案内文が表示されるという仕組みです。QRコードを一度作成するだけで、画像や案内文は、管理画面からいつでも差し替えや修正が可能ですので、維持管理はきわめて簡単です。

 aspサービスで、コストも、QRコードあたり月額500円~1000円とリーズナブルですので、小規模な導入から初めて拡張していくことにも対応できています。

 サイトでは、サンプルを作成することも可能ですので、「COOP(ヤマモリ) 国産具材の鶏ごぼう釜めしの素」の商品説明を作成してみました。QRコードをスマホで読み取って、サイト上の表示をご覧ください。

2015年2月19日木曜日

団塊の世代とデジタルネイティブ世代

 団塊の世代が前期高齢者となった2015年 

いまさら云うまでもなく、日本の人口分布は尻すぼみの逆三角形を描いています。その最たる理由は、戦後ベビーブーマーである団塊の世代およびその団塊ベビー世代の存在であり、1980年頃に特殊出生数が1.50を下回った極端な少子化にあります。
特に、今年2015年は、団塊の世代がすべて65歳以上、すなわち前期高齢者となるという節目に当たります。
総務省「国勢調査」及び「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)によれば、全人口の25%、4人にひとりが65歳以上の高齢者となります。




















 10年後の2025年には、65歳以上の高齢者の人口に占める割合は、30%となり、その中でも、団塊世代が75歳以上の後期高齢者、いわゆる要介護世代へとさしかかってくるという超高齢化社会が登場してくることになります。

 デジタルネイティブ世代が成人へと成長 

 一方で、こうした団塊世代と相対峙して語られることが多いのが、デジタルネイティブ世代です。
彼らは、1990年以降に生まれた世代で、いわゆる「ゆとり教育」世代でもあるわけですが、物心ついた90年代半ば以降は、いわゆるインターネットが登場し、家庭用ゲーム機、携帯電話が身の回りに最初から存在していた世代です。
こうしたデジタル機器を日常的に使いこなすことはもとより、その恩恵を享受する一方で、デジタル世界ならではの文化や生活習慣、社会との関わりを持ってきた世代とも云えます。
ある定義によれば、
・現実の出会いとネットでの出会いを区別しない
・相手の年齢や所属・肩書にこだわらない
・情報は無料と考える
といった世代的特徴を持っているということですが、いずれにしても、このデジタルネイティブたちが、いよいよ社会へ出てきたことはこれからの社会全体をとらえる上で重要なファクターになってきます。











 世代間のデジタルデバイド(情報格差)は本当に存在するのか 

 現代と、これからの日本を象徴するであろう2つの特徴的な世代、団塊の世代を中核とする高齢者世代と、デジタルネイティブと呼ばれる世代。この両者を明確に定義する物差しとして使われているのがデジタルというキーワードであり、デジタルにそぐわない高齢者世代については、デジタルデバイド(情報格差)における弱者に位置づけられています。
本当にそうなのでしょうか。

 ここで、もう一度、デジタルネイティブと呼ばれる世代について考えてみましょう。たしかに、彼らは生まれながらにしてデジタルでバイスに囲まれ、その利便性を享受してきているかに思えます。しかし、実態として、彼らが使ってきた、あるいは、その恩恵にあずかってきているデジタルデバイスは、携帯電話の通話であったり、ゲームであったり、本当の意味で、生活を営んだり、自分が生きていく上での重要な場面で恩恵を受けてきたという感覚ではないはずです。
実際に、ネット上でもリアルでも出会いを区別しないとはいわれながら、実際は、「ネット上は知り合い、親友はリアル。」と割り切っている高校生たちも多いようです。よくいわれる「リア充」(現実の生活が充実していること)にあこがれるところからも、それはうかがえます。
しかも、彼らは、まだ家庭を営んだり、社会において重要な地位や立場には至っていない世代です。その点からも、相手の年齢や所属・肩書にこだわらないというのは、こだわるべき状況に至っていないというべきでしょう。

 デジタルネイティブは、本来のデジタルには弱い? 

 1990年代から普及し始めたデジタルデバイス、その端緒はPCの登場でしょう。Windowsの登場以前は、やや専門的な機器であったPCが、Windows3.1の登場以降、社会の中で当たり前に使われるツールとして、特にビジネスにおいては不可欠のデバイスとなりました。
しかし、それでもPCには、やや越えがたいハードルのようなものがあって、PCが使えるということ自体が、まだまだスキルだった時代が長く続きました。
ところが、PCが事務処理機器からインターネットの入り口となるにつれて、そんなスキルがなくても、自由に情報に接することができるようになりました。また、通話のためにあった携帯電話でもインターネットやメールができるようになってきました。
デジタルデバイスの側から、どんどん簡単に利用できるように変貌してきたと云えるのかもしれません。

 そして、スマートホンが登場してきました。小さな端末の中にインターネット環境から、通信・通話、PCに匹敵するアプリまでもが搭載されてきています。しかも、PCが仕事や業務という側からスタートしたのに対して、スマホはパーソナルなツールとして、また、楽しみや遊びも含めた側から人びとの手元に行き渡りました。そのために、難しいスキルなどなくても、誰でもが簡単に利用できるようにどんどん進化してきました。
メールのように、いちいち文章を打たなくても、電話のように相手が出てくれなくても、リアルタイムに会話ができるLINEやTwitter、友達だけ、仲間だけでのやりとりができるFaceBookなどのSNSが登場してきました。
そういったツールを使いこなせるデジタルネイティブたち、彼らは、そのままで社会に出て仕事もそれまでの世代以上にこなせるでしょうか?
Excelや業務アプリをちゃんと使っていけるでしょうか?

実のところでいえば、デジタルネイティブたちも、以外とデジタルそのものには弱くなっている、それだけ、デジタルデバイスが使いやすく、かんたんになってきている、あるいは、そうならざるを得なくなっているのかもしれません。
















 予想外にデジタルに強い団塊世代 

 そう考えてみると、団塊の世代もあながち軽んじることはできないかもしれません。
彼らは、中年・熟年以降になってPCやインターネットに出会っています。それでも、仕事ですから、やれメールや社内グループウエア、業務ソフトなどを使わざるを得ない状況に追い込まれ、それを生き抜いてきた強者たちです。ホワイトカラーだけでなく、現業系でもデジタル化は半端なく押し寄せて、それらを使わないと職人技も生きてこなかったはずです。
そういった彼らがリタイアして、時間とある程度の資金を持った現在、決してデジタルデバイドの弱者側に甘んじているとは思えないのです。

 現実に、パソコンなどの市民講座は、まっさきに定員オーバーになる状況が続いているといいますし、家電量販店でも最近の格安スマホ売り場には、中高年がいちばんに殺到しているともいわれています。iPhoneなどのブランド化したスマホに群がる若年層に対して、中古年層は実利を見抜く目を持っているからかもしれません。

こうして考えると、これまでの高齢者はともかく、日本の高度経済成長を支え、かつてのバブルの恩恵も、その後の暗黒の時代も乗り越えてきた団塊の世代にとっては、デジタルデバイスに対応することくらいはそれほどの難度ではないのかもしれません。

 世代論で論じるべきではないデジタルデバイド問題 

 一般に、若い、イコール、デジタルに強い、高齢者、イコール、弱いというステレオタイプ化をしがちですが、すでにデジタルでバイスが登場して四半世紀、おおむねひと世代が経過した現代にあっては、デジタルデバイド(情報格差)は年代で論ずるべきではないと思われます。その一方で、デジタルデバイス側には、不断の使いやすさ、簡単さへのアプリローチが求められており、これを怠ることで、利用者に対する情報格差を招くというよりも、その情報や情報発信者・提供者側が淘汰されるという格差を受けてしまうのではないでしょうか。

2015年2月13日金曜日

コープ九州のスマホアプリが急速拡大中!

 コープ九州事業連合が制作・公開しているポータル型アプリ『COOPぽけっと』が、公開間もないにもかかわらず2千ダウンロードを越えて急速に拡大中です。情報を入手して間もない状況ですので、ダウンロードして使ってみた感触などからレポートしてみたいと思います。


 シンプルでわかりやすい初期設定 


 今回は、Xperia Z3 Compact(Docomo 2014年冬モデル、Android4.4)を使用してテストしてみました。
 GooglePlayストアで「COOPぽけっと」を検索しインストールします。
インストールが完了すると、画像のようなアイコンが登場します。
アプリの開発に関わった経験がある人間からすると、細かいところですが、アプリ名の「COOPぽけっと」の8文字、正確には半角英字4文字と全角文字4文字ですが、文字によっては、7文字でも最後の1文字が半分だけ表示されたりするので、これをきれいに表示させたというのは、結構ご苦労があったのではと思います。


 アプリを起動すると、最初に立ち上げたときだけだろうと思いますが、きれいなwelcome画面が表示されて、それから初期設定へ向かうように作られています。
なお、画面は縦向きのみに特化されているようです。


 初期設定の1画面目では、居住県、生協への加入・未加入を選択するようになっています。
九州7県以外の都道府県という項目もありましたが、今回はテストなので福岡県を選択しました。
ただ、通知という項目はやや不親切かもしれません。生協からのプッシュ通知だろうとは推察できるのですが、生協組合員のリテラシーレベルを考えるともう少し説明があってもと思いました。
この画面で、生協未加入を選択すると、ここで設定は完了となりますが、加入を選択すると、次の組合員情報画面へと進みます。
この画面では、なぜかコープ九州の全部の生協が選べるようになっています。おそらくは、通勤などでの県外からの加入者を意識してかと思いました。また、先ほどの通知と連携していると思われますが、お知らせ通知の受信曜日を選択するようになっています。次のeフレンズ登録との関係もあるのかもしれませんが、このアプリでeフレンズへのログインによる組合員情報の連携までを行っているのかどうかまではわかりませんでした。


 便利機能に特化したポータル型アプリ 


 初期設定を完了すると、いよいよアプリのメインメニューが表示されます。実際には、1画面ではお知らせあたりまでしか表示されませんが、スクロールすると、この画像のようにすべてが表示されるようになっています。
メニューは、上段にeフレンズ会員用のメニュー、中段は未加入者やeフレンズ未登録者向け、下段にお知らせと日本生協連が提携して商品情報などを発信しているクックパッド(レシピ)、YouTube(商品動画)、@COSME(コープ化粧品)の各サイトへのリンクがあります。
メインメニューから先は、基本的にそれぞれのWebサイトへのリンクとなっており、アプリ内に機能を設けているものではありませんが、このメニュー上に利用者ごとの生協との関わりに応じて行き先を選択出来るという点において、使い勝手のよいポータル型アプリとなっています。






 今日のおすすめレシピを紹介 

 基本的にWebサイトへのリンクと書きましたが、今日のレシピについては、アプリ内で自動的に選択してくれる機能のようで、メインメニューをタップするとひとつのメニューを紹介してくれます。ここから先は、Webサイトで、Yahoo!JAPANのレシピ検索にレシピ名を引き継いで各種レシピサイトからレシピを列挙するようになっています。




利用者が、自分でレシピを選ぶのではなく、ランダムにおすすめする機能としては、コープきんきのeフレンズぱくぱく献立くんサイトの献立ルーレット(PC版)や、ダンスdeレシピ、ぱくぱくおみくじ(いずれもスマホ版)などと同様で、今日の献立に困ったときにおすすめしてくれる便利な機能となっています。



 今後のバージョンアップにも期待 


 メインメニューとは別に、フッターにサブメニューが用意されていて、アプリの紹介、設定の変更やお知らせ、LINEやメールでのおすすめ機能などが用意されています。

 全体として、様々な機能を盛り込みながら、注文などの、いわゆる重たい部分はうまく既存機能にリンクするなどで軽量化を図っているところなど工夫の跡がうかがえるアプリとなっています。
 まだ、お知らせなどが掲載されていないので、どのような運用になるか、プッシュ通知部分なども表側からは計り知れないところもありますので、機会があれば、そのあたりについてもうかがえればと思っています。
 また、事業連合ならではのことかもしれませんが、会員生協ごとのお知らせやリンク掲載などの要望もあるようで、こういった部分も含めてさらなるバージョンアップにも期待したいところです。

2015年2月9日月曜日

パソコンでAndroidアプリが稼働する『BlueStacks』を試してみた

 そもそも、パソコン上でAndroidアプリを稼働させるというのは、スマホアプリ開発においてはあまり役には立たないものです。アプリ開発で必要なのは、スマートフォンの機種ごとの特性をシュミレートし、スマホアプリが正しく動作するかということを検証できるプラットフォームであり、パソコン上で動くことは、デザイン確認の割と初期段階や、基本的な動作確認、マニュアル作成のためのキャプチャー採取といったことを使い慣れたパソコン上で行えるというくらいの意味しかありません。

 ではなぜ、パソコンでAndroidアプリが稼働するソフトを使ってみようと思ったかというと、最近の「モバイルファースト」の流れに影響されたことに他なりません。

モバイルファーストで、スマホでしか使えないアプリが増加

 これまでは、パソコンのソフトやWebブラウザを使って表示するコンテンツが主流でしたが、最近は、スマホの利用者が急増してきたことを背景にスマホサイトやスマホアプリが台頭してきていることは、ご存じの通りです。

 こうした流れの多くは、最初にパソコン版ありきで、パソコン版を次の段階でスマホ版のWebサイトやスマホアプリに転用したものがほとんどでした。ところが、ここへ来て、「モバイルファースト」という考え方の転換が起こってきており、最初からモバイル版のサイトのみを制作したり、スマホアプリだけでWeb版を作らないという流れが増えてきています。

 特にアプリの世界では、スマホを前提とした課金モデルなどを運用する場合に、わざわざパソコン向けのコンテンツやシステムを構築することは得策ではありません。あらゆるリソースをスマホに集中させることもできます。

それでも、画面の大きなパソコンで見たい情報もある

 とはいいながら、目の前に大画面のパソコンがある環境で、わざわざスマホを取り出して小さな画面を見るのもどうか、という向きもあることから、何か方法はないかと考えました。

 最初に書いたように、スマホアプリの検証ツールには、USB接続などでスマホの画面をパソコンのモニターに表示して、実際に操作もパソコンのマウスやキーボードから行えるというものもあります。ただ、接続ケーブルや専用の機器が必要だったりもします。

 実際、わたしの直接の動機は、ニュースキュレーションアプリの『SmartNews』をパソコンの大画面で見たいという単純なものだったのですが、この期待に応えてくれるツールとして、今回は、パソコンでAndroidアプリが稼働する『BlueStacks』というソフトを試してみました。

実際にインストールしてみると

 『BlueStacks』をインストールするのは、ごく普通の操作で、特別に気をつけるところもありません。ただ、インストールすると、AndroidOSをシュミレートするソフトですので、普通にAndroidスマホを最初に立ち上げたときのようにGoogleのアカウントが必要になることくらいでしょうか。


 また、GooglePlayストアのアプリをインストールするためには、同じアカウントで、アプリの状況を連携するための準備などにやや手間がかかるといえばかかります。

 インストールした『BlueStacks』を立ち上げると、以下のような画面になります。これが、いわゆるスマホの初期画面(ホーム画面)になります。ここに、GooglePlayストアからアプリをダウンロードして、『BlueStacks』にインストールすることになります。このあたりは、Androidスマホを使ったことにある人には特に説明するほどのものではありません。

 使ってみて気になるところとしては、スマホ用の画面がそのままパソコンのモニターに表示されますので、文字はとてつもなく大きくなります。ただ、スマホ版でパソコン用のページを表示するニュースサイトなどもあって、これまでスマホで見ていて文字が小さすぎるケースが多々ありましたが、そのあたりは解消されます。

 ただ、画面モードが今のところ全画面モードしか発見できていませんので、パソコンの他のソフトやブラウザとウィンドウを並べて同時に閲覧するということはできません。

 パソコンにインストールしておいても問題のないツールではないかというのが現時点での感想です。

2015年2月1日日曜日

最新のスマホ利用動向と格安スマホの拡大状況-MMD2014年10月定点観測より-

 MMD研究所が、恒例のスマホ購買動向定点観測2014年10月版を発表しました。
今回は、最近話題になっている格安スマホの利用動向についても触れられています。
(1)スマホ所有率の推移(2012年~2014年)

2014年10月時点でのスマホ所有率は、59.0%に達しており、2013年10月に50.9%と、ようやく50%を越えてから1年で8.1%の増加となりました。
この1年間での急激と言っていい伸張は、久しぶりとなる2014年10月の新型iPhone6やiPhone6plusの登場が大きな要因となっている可能性があります。また、もう一つのトレンドとして、格安スマホの拡大、SIMフリー端末へのSIM提供など、これまでの3キャリア独占に、ひとつの風穴があいた結果ではないかと推測されます。


















※クリックで画像拡大


(2)格安スマホの認知率

スマホ保有率の急進の一因と考えられる格安スマホについては、テレビCMなどの効果もあってか、75%もの認知率となっており、現状のスマホの料金が高額であることなどを背景に、関心は高まっていることを示しています。
ただ、この関心の高まりが格安スマホの利用を一気に引き上げているかどうかについては、次項目をご覧いただきたい。
















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(3)格安スマホの利用率とキャリア内訳

認知率は75%と高いものの、格安スマホの利用率は、現状では1.6%と高いというレベルには至っていません。
理由としては、既存キャリアの契約形態が2年間の「しばり」をつけていることがあります。このため、今後、2年間の契約や端末費用の支払いが終了した時点で、格安スマホへの移行が進む可能性は否定できません。
格安スマホの利用者における回線事業者の比較では、先行したIIJが、月額900円の価格でシェアトップとなっているほか、CMなどで認知度のあるOCNやイオンが販売するBIGLOBEがそれを追う展開となっています。また、後発ながら、auのSIMロック端末にも対応できるケイオプティコムのmineoが追随しており、CM投入などもあって、今後シェアを伸ばしそうな勢いです。
格安スマホは、回線事業者の構成だけでなく、販売する家電大手や量販店との提携も影響を受けることから、今後の展開は予測が難しい一方、市場全体としては、まだまだ拡大が見込まれます。













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2015年1月25日日曜日

「送料無料」が購買に与えるインパクト -fastask調査からの分析と評価(2)-

 株式会社ジヤストシステムのセルフ型ネットリサーチ「Fastask(ファストアスク)」で、2014年11月17曰(月)~11月17曰(月)に実施されたアンケート調査の結果から、ネットショッピングでの送料の有無が、購買に与える影響を見てみました。
 調査対象は、Fastaskモニタのうち、事前の調査で「直近半年以内にネットショツピングを利用した」と回答した20代~50代の男女1,000名です。

 Fastaskは、調査結果の分析よりも生の詳細データを公表していることもあって、独自に評価分析できるところが特徴です。

●ネットショッピングでの購買動向に最もインパクトを与えるものとしては、価格がありますが、それ以外にもいくつかの要素があります。

この設問では、自分で利用する普段使いの商品という前提ですが、11の選択枝の中で、「送料の有無」を挙げた人が、実に90%となりました。

レビューの有無やポイントという定番のプロモーションが2位以下に並んでいますが、いずれも70%以下と大きく差をつけられています。


●性別と、年代でクロス分析を行ってみると、性別では、男性よりも女性のほうが平均より上下3ポイント影響があると回答していることがわかります。特に、「非常に影響がある」という回答では、男女で15%も高い評価となっています。※赤い囲み。
 
特徴的には、40代女性が平均より6%も高い96.3%が、送料の有無が影響すると回答しているのに対し、20代男性では全性別、年代の中で最も低くなっていますが、それでも82.9%と決して低くない評価をしていることから、すべての性別、年代において送料の有無、つまりは、送料無料が購買を向上させるきわめて大きな要素であることがわかります。※青い囲み。


2015年1月22日木曜日

まだ途上か?スマホからのネットショッピング利用動向-fastask調査からの分析と評価-

株式会社ジヤストシステムのセルフ型ネットリサーチ「Fastask(ファストアスク)」で、2014年11月17曰(月)~11月17曰(月)に実施されたアンケート調査の結果から、スマホからのEC利用動向を見てみました。

調査対象は、Fastaskモニタのうち、事前の調査で「直近半年以内にネットショツピングを利用した」と回答した20代~50代の男女1,000名です。

Fastaskは、調査結果の分析よりも生の詳細データを公表していることもあって、独自に評価分析できるところが特徴です。
※グラフは、クリックで拡大表示できます。

●ネットショッピングの利用頻度


グラフの赤枠の部分が、週に1回以上~月に1回以上の利用頻度の合計で、おおむね80%に達します。

週に1回およびそれ以上も約20%と、ネットショッピングが、生活に浸透してきていることがよくわかります。

利用頻度を性別、年代別でクロスしてみると、月に1回以上の頻度で利用している80%について、性別で大きく差があることがわかります。
男性が83%に対して、女性は77.6%と上下6ポイントも差があります。
※青い囲み。

特に女性の20台では75.2%と、性別年代別で最も低くなっています。
※赤枠
 
ところが、女性20代の週1回以上利用と、30代の週1回利用は、他の年代を大きく引き離しています。※黒枠
このあたりは、もう少しデータが欲しいところですが、20代30代の未婚女性が牽引している可能性があるのかもしれません。

●利用するデバイスについて



ネットショッピングに利用するデバイス(端末機器)については、これだけモバイル機器が増えたといわれている中でも、87.1%がPC利用が多いと回答しており、スマホは6.7%に過ぎません。

比率的には、タブレット端末の3.8%のほうが意外に健闘しているという印象すらあります。これは、一因としては、サイト側のモバイル対応がまだ充分でないことが想定されます。
性別、年代とクロスさせてみますと、男性は年代の上昇とともにPC利用が多くなるのが傾向というレベルで確認されますが、女性は、30代で、スマホ利用が平均の2.5倍、20代では実に3.5倍という高い数値となっており、若い女性層ではスマホの浸透がかなり進んできている印象を受けています。※赤枠

利用頻度と利用するデバイスとの相関関係では、週1回以上のスマホ利用がやや高い数値となっているのは、20代女性の利用頻度とスマホ利用比率の高い要素がこのポイントに集中した結果となっているものと思われます。※赤枠
週1回、および1回以上の利用頻度がタブレットで高く表示されていますが、タブレットの利用者が全体の3.8%ですので、特別な傾向というには基礎となる数値が少なすぎます。※青枠

●まとめ

ネットショッピングの利用頻度については、おおむね月1回以上の利用が定着しつつあると考えても間違いなさそうです。この利用頻度を前提としたリピーター対策が、これからの重要課題となってくるものと思われます。
一方、モバイルの利用については、世間で喧伝されているようなレベルにはまだ至っていません。しかし、現状自身が、ショッピングサイトの対応が、本当にモバイルファーストといわれるように、モバイルでの利用でもPCに遜色のない操作性やユーザビリティが確保できているかによっても、本来、もっと高いはずのモバイル利用を、自ら阻害している可能性もありますので、一概に、モバイルの浸透を否定はできないと思われます。引き続き、モバイルの動向を注視する必要があると思われます。

2015年1月13日火曜日

@niftyが公表「10~50代女性のスマホショッピングに関する調査」

@niftyが、同社が展開するスマートフォン通信サービスNifMOで実施した「10~50代女性のスマホショッピングに関する調査」を公表しました。

 10~50代女性のスマホショッピングに関する調査
スマートフォンによるネットショッピングを、あえて"スマショ"と呼んでいるところは、何とも評しようがありませんが、アンケート結果の特徴としては、いろいろとおもしろいものがありました。


予想通り、購入ジャンルではファッションが最も多く、続いてCD、DVDなどの音楽メディア、家庭洋品・雑貨となります。


スマショを活用する理由としては、時間や場所を選ばない、出かけなくていい、リアル店舗にない商品が手に入るといったネットショッピングならではの理由が上位を占めていますが、ポイントというキーワードも上位に入っており、リアル店舗などのポイントとどのように違うイメージを持っているのかがもう少し深掘りされていればと思えました。


買いもの行動では、"ながらスマショ"が4分の1近くを占めており、駅などで問題となっている"ながらスマホ"にも通じるところがあるようです。


購買シチュエーションとして、就寝前のベッドの中、電車の中はうなずけましたが、5.7%が休憩中のトイレの中と回答しているところに、そこまでして、という印象を否めませんでした。